2020年1月1日、第99回天皇杯の決勝が新しくなった国立競技場で行なわれ、神戸が鹿島を2-0で下して初優勝を達成。今季で現役を引退する元スペイン代表FWのダビド・ビジャは試合終了間際に出場し、有終の美を飾った。

上写真=試合後、家族とともに優勝の喜びに浸ったビジャ(写真◎福地和男)

合言葉は「ダビのために」

 神戸が2-0でリードしていた後半アディショナルタイム、新国立に大きな歓声が起こった。今シーズン限りでの引退を発表しているダビド・ビジャが、ルーカス・ポドルスキとの交代でピッチに立ったのだ。ワールドカップや欧州チャンピオンズリーグなどを制してきたビジャにとって、この天皇杯決勝が18年間に及ぶ現役生活のラストマッチとなった。

 J1最終節の磐田戦(12月7日)で全治4週間のケガを負い、清水との天皇杯・準決勝(12月21日)を欠場。この日も万全のコンディションではなかったが、「自分にとってはこの試合に来るまでが戦いであったし、何とかピッチに立って優勝という形で終えられたことに、大変満足しています」と試合後に語った。

 天皇杯では準々決勝の大分戦(10月23日)でベンチ入りしただけで、鹿島との決勝が大会初出場。プレー時間だけを見れば天皇杯での貢献度は低く映るものの、背番号7の存在が、初優勝の原動力となった。昨年11月13日に現役引退を発表して以降、「ダビ(ビジャの愛称)のために」を合言葉にチームは結束。神戸はそこからリーグ戦を3連勝で締めくくり、勢いそのままに天皇杯を制してクラブ初タイトルを獲得し、チームを去るビジャの花道を飾った。

 Jリーグでは出場28試合で13得点を記録するなど、まだまだ得点感覚に衰えは見えないビジャだが、「サッカーに引退させられるのではなく、自分の意志で引退したい」と会見で語り、今後はスペインのマドリードを拠点に、自身がオーナーを務めるニューヨークのクイーンズボロFCの経営や、サッカーアカデミーの運営に携わっていくことになるという。

 神戸でのプレーはわずか1年間だったが、昨季のJリーグ最優秀ゴールを受賞したJ1第17節・名古屋戦でのビューティフルゴールなど、日本のサッカーファンに鮮烈な印象を残した。そして自身通算15個目となるタイトル、天皇杯優勝を置き土産に世界有数のストライカーがキャリアの幕を下ろした。

取材◎多賀祐輔 写真◎福地和男

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