来季から北海道コンサドーレ札幌への入団が決まり、今季も特別指定選手として選手登録されているが、今回のメンバーの中では唯一の大学生だ。メンバーリストの所属先の欄にも「大阪体育大」と記されている。ただ、そのプレーが代表レベルにあることを田中駿汰はこれまでの3度の活動の中で証明してきた。成長著しいボランチはこの日もチームの勝利を目指し、そして五輪代表入りをアピールすべく試合に臨んだ。しかし、待っていたのは悔しい結果だった。

上写真=ボランチで先発し、87分までプレーした田中駿汰

■2019年11月17日 キリンチャレンジカップ2019
 U-22日本代表 0-2 U-22コロンビア代表
  得点者:(日)なし
      (コ)L・サンドバル、J・ラミレス

この内容を最低の基準に

 最終ラインからボールを引き出し、攻撃をクリエイトしていくタスクを田中は担っていた。だが、コロンビアの圧力の前に思うようにプレーできなかった。田中のほか、ドイスボランチを組んだ中山雄太も苦しい状況でボールを受けるケースが多く、両ワイドの菅大輝、菅原由勢にも良い形でボールが入らずに攻撃は停滞した。ボランチからのパスの受け手となる2シャドーの堂安律、久保建英とボランチ陣との呼吸も合わず、ボールをロストする場面が多かった。田中が試合を振り返る。

「時間が経つにつれて、多少は(リズムが)出ましたけど、もっとワンタッチで渡すとか、もっと(ボールを前に)入れれればよかった。一つ持ってからというのが多かったので。テンポというかリズム感を出していけなかったので、そこが課題だと思いました」

 田中はすでに特別指定選手であり、来季、北海道コンサドーレ札幌加入が決まっているとはいえ、今回のメンバーで唯一の大学生(大阪体育大)だ。日々、日本のトップレベルや海外でプレーしている選手と比較した場合、一見すると経験という面でハンディがあると思われる。しかし、6月のトゥーロン国際大会、10月のブラジル遠征で評価を高め、今回もメンバー入りを果たした。実力で代表内での自らの場所をつかみ取ってきたわけだ。

 それでも、来年7月の五輪本大会は登録人数が18人と狭き門(オーバーエイジ3人を含む)。選ばれるのが簡単ではないことを本人も知っている。だから、活動のたびにチームに貢献し、自分をアピールすることを目指してきた。ただ、今回の試合ではそれができなかったと反省する。

「横さん(横内昭展コーチ)からは後ろでしっかり受けてというの言われていた。もっといい塩梅というか、前に行くタイミングと後ろで作っていうタイミングをもっとうまくやれたかなと思います。結果的に完敗しているし、個人よりもチームが勝つことが大事でしたが、それもできなかった。きょうは全然ダメだった。個人としてもチームとしても」

 本大会までの限られた活動期間の中で、チャンスが来たときにしっかり結果を出すことが重要だった。その意味で、この日の試合には悔いが残った。

「きょうの出来では全然、生き残れないなと思うので。今日感じたことを無駄にせずに、もう1回チームに戻ってもしっかりやりたい。これを最低の基準と考えて常に、練習からやってきたい」

 生き残るために何が重要になると考えているのか、本人の考えを聞いた。

「まずしっかりビルドアップに関わってチームに作ることというのが、僕に求められていることだと思う。相手がどんなにプレスに来ても、しっかりできるようになっていかないといけないと思います」

 この日は中山と組んだが、プレーメーカーとしては田中碧や松本泰志がいて、ボランチという枠で考えれば高宇洋、渡辺皓太、齋藤未月、板倉滉も同ポジションでプレーしたことがあり、同世代にはライバルが多い。森保一監督がオーバーエイジの3人枠をどのポジションに使うかはまだ分からないが、メンバー入りを果たすにはOA枠の選手との争いにも勝たなくてはならない。

「サバイバルなんで。枠は少ないですけど、しっかり狙える位置にいるので、貪欲に狙っていきたいです」

 3度目の代表活動には悔しさが残った。次にチャンスが来たときに確実に結果を出せるように――。田中はチームの進むべき未来を描き、自らの武器を磨くと誓った。

取材◎佐藤 景 写真◎西田泰輔

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