この日スタジアムが最も沸いたシーンは、直後に大きなため息に変わった。交代出場した後半、決定機をつかんだFW小川航基だったが、決めることができず。試合後はストライカーとして、結果を求めていく決意を新たにしていた。

上写真=フリーで放ったシュートは左ポストへ。小川は思わず頭を抱えた(写真◎西田泰輔)

■2019年11月17日 キリンチャレンジカップ2019
 U-22日本代表 0-2 U-22コロンビア代表
  得点者:(日)なし
      (コ)L・サンドバル、J・ラミレス

「紙一重のところで」

 0-2とリードされていた81分、日本は自陣でボールを持ったMF堂安律が前線へロングパス。これに反応した小川がフリーで抜け出し、追走するDFを振り切って右足でシュートを放った。GKの左を抜いてゴールに向かったボールはしかし、左ポストに当たってしまう。残り10分あまりで1点差となっていれば、追撃ムードが盛り上がっていたのは間違いなく、惜しまれる逸機となった。

 試合後、小川は「イメージ通りのところに(シュートは)行ったんですけど…。紙一重のところで入らなかった」と静かに振り返った。FW上田絢世との交代で後半開始から登場し、スペースへの動き出しを何度も繰り返したものの、そのシーンまではチャンスに結びつかず。「動き出しは、やめたら何も起きない。自分も全部出てくると思って動き出していないですし、僕の動き出しでタケ(久保建英)や(堂安)律が空いてくるなら、良い形になる。動き出しをやめないのは大事なことだと思う」と語った通り、周囲にスペースと作りながら、ここぞの場面で決定機につなげたが、最後のフィニッシュで決め切ることができなかった。

 磐田からの期限付き移籍でプレーしている水戸が、J1昇格争いの佳境を迎えている中での代表招集だったが、水戸のチームメイトからは「ここに来る前に『得点を期待している』と言ってもらって、試合前も連絡が来た」という。水戸は16日の試合で鹿児島に敗れ、8位に後退。「残念ながら痛い1敗をしてしまったけど、まだ来週も(最終節が)残っている。良い準備をしていきたい」と気持ちを新たにしていた。

 一方で東京五輪へのポジション争いは、さらに激しさを増していく。それを勝ち抜いていくために必要なことを、小川は「今日みたいなチャンスを確実にねじ込むところ」と言い切った。「惜しい、では何も変わらない。あれをゴールの中にねじ込むことが、一番大事なことだと思っています」と続け、結果を出すことの大切さに思いを向けていた。

取材◎石倉利英 写真◎西田泰輔

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