高円宮杯プレミアリーグWESTで戦う両者が、Jユースカップの準々決勝で顔を合わせた。試合は開始早々の4分に名古屋U-18が先制。相手GKのクリアボールに反応したFW村上千歩が右足でゴールに沈めた。さらに、30分にもゴール前のこぼれ球に反応したFW榊原杏太が左足で追加点を奪取。後半、広島ユースのFW棚田颯にヘディングシュートを決められ1点差に詰め寄られるも、71分にカウンターから再び村上がゴールを奪い、勝負あり。日本クラブユース選手権大会を制した名古屋U-18が、『3冠』へ向けてベスト4入りを果たした。

上写真=体勢を崩しながらもゴールを狙う村上。広島ユース戦は2得点の活躍(写真◎サッカーマガジン)

■2019年11月4日 2019Jユースカップ準々決勝(Jヴィレッジスタジアム)
名古屋U-18 3-1 広島ユース
得点者:(名)村上干歩2、榊原杏太 (広)棚田颯

ケガから復帰のエース。「3冠を取って恩返ししたい」

 名古屋U-18のゴールラッシュは、とどまるところを知らない。1回戦(5-1横浜FMユース)、2回戦(5-3岡山U-18)で5得点、さらに3回戦では高円宮杯プレミアリーグEASTで戦う浦和ユースから4得点を挙げた(4-2)。そして、広島ユースとの準々決勝でも3点を奪い、完勝。4試合で17得点と、ゴールを量産している。

 チームの中でも、特にFW村上千歩の勢いが止まらない。1回戦から4試合連続ゴールを挙げ、ここまで6ゴールで得点ランク首位に立つ。「自分が得点王になれば、チームは絶対に優勝できる。今はゴールを決めることができているし、得点王も貪欲に狙っていきたい」と、頂点へ向けてさらなるゴール奪取を目指す。

 名古屋U-18は、今夏の日本クラブユース選手権大会で初優勝を成し遂げた。ただ、その大会で背番号「11」は不在。村上は、快進撃を見せたチームをピッチの外から見守った。

「(日本クラブユース選手権大会期間を含む)3カ月間、ケガをしていました。チームが優勝してうれしい気持ちはあったけれど、その反面、悔しい気持ちもありました。だから、Jユースカップとプレミアリーグの残りの試合では、死に物狂いで戦おうと思っています。(広島戦も)結果が出てよかったです」

 高校入学時に親元を離れ、生まれ育った熊本から愛知へとやってきた。「最初は寂しかった」というが、「何しに(名古屋U-18に)来たのか。プロになるために来たんだ」と自問自答し、自らを奮い立たせながら3年間戦ってきた。

 そして、名古屋U-18で戦う最後の年、ケガの時期を乗り越えて日本クラブユース選手権大会後に復帰すると、Jユースカップのみならず、プレミアリーグWESTでも得点を重ねている。「チームとしても、3冠を取ることを目指しています」。村上自身は残された2つのタイトルを目指し、全力を尽くす。グランパスに連れてきてくれたすべての人へ、感謝の思いを伝えるために――。

「来週(準決勝の試合会場)は(九州の)福岡(レベスタ)なので、(熊本から)親が見に来ると言っていました。(日本クラブユース選手権大会の)決勝戦だけは見に来ましたが、自分は(ケガで)プレーを見せることができなかったので、今回は活躍したい。親に『ありがとう』という言葉を言えていないので、しっかりゴール決めて、結果で感謝の思いを伝えたいなと思っています。親にもそうですけれど、(名古屋U-18に連れてきた)三浦(哲郎)スカウトマンにも感謝しています。一番望んでいるのはチームの勝利と、自分のゴールだと思っているので、絶対に3冠を取って、恩返ししたいです」

 “帰ってきたエース”は、様々な思いを胸にこれからもゴールを狙い続ける。

取材◎小林康幸

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