松本が逆転勝ちし、11戦ぶりの白星を挙げた(J1は5月26日・名古屋戦以来)。立ち上がりに失点を喫し、苦しい展開になったが、終盤に盛り返した。75分、高橋諒のクロスに阪野豊史が頭で合わせて同点。83分には高橋諒が勝ち越しゴールをマークした。5月26日の名古屋戦以来の勝利となった。浦和は5戦勝ちなし。松本が息を吹き返すきっかけをつくったのは、今夏に加入したストライカーだった。

上写真=75分に同点ゴールを挙げた阪野(写真◎J.LEAGUE)

■2019年8月23日 J1リーグ第24節
浦和 1-2 松本
得点者:(浦)ファブリシオ、(松)阪野豊史、高橋諒

悔しい思いもたくさんした(阪野)

 勝負どころで持ち味を発揮した。1点を追う75分、高橋の右クロスにジャンプ一番、阪野がヘディングでピタリと合わせる。競り合った槙野智章に当たってコースが変わり、ボールはクロスバーからゴールネットへ。

「リョウがいいボールを上げてくれた。敵に当たってラッキーな部分もあったけど、あの場所に入っていくのが大事。ペナルティーエリア内で勝負すれば勝てる自信はあった」

 反町康治監督に冗談交じりに「へなちょこシュート」とからかわれても、「1点は1点です」ときっぱり。プロ7年目でJ1初ゴールをマークし、破顔一笑。場所は古巣の本拠地、埼玉スタジアムだ。特別な思いがあふれた。アカデミー出身で明治大を経て、13年に浦和に加入。しかし、思うように結果を残せず、居場所を失った。

「育ててもらいましたし、思い入れの強いクラブですが、悔しい思いもたくさんしました。それだけに成長した姿を見せられて、うれしいです」

 栃木、愛媛、山形と渡り歩き、J2通算47ゴールを挙げてきた実績はダテではない。森脇良太、槙野とマッチアップしても、負ける気はしなかった。得意な形に持ち込めば、勝負できると踏んでいた。浦和時代はサブ組に入り、よく戦ったディフェンダーたちだ。昔とは違う。ピッチ上で冷静さを失うことはなかった。プロ1年目で埼玉スタジアムに立ったときのことをふと思い出す。

「あの頃はただただがむしゃらにプレーしていた」

 もう29歳。14年限りで浦和を出てから、ようやくたどり着いたJ1の舞台。簡単にJ2へ帰るつもりはない。残り10試合、死ぬ気で戦っていく。J1へのこだわりは人一倍強い。
「一つでも上の順位にいく。来年もJ1で戦わないと意味がない」

 15位との勝ち点差は4ポイント(8月23日現在)。降格圏内脱出まではあと少しだ。

取材・文◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE

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