名古屋グランパスU-18がサガン鳥栖U-18を破り、夏のユース王者となった。前半開始早々の2分に倍井謙の3試合連続ゴールで先制すると、その後も攻撃の手をゆるめず、13分には榊原杏太、32分には再び倍井がゴールネットを揺らして、前半だけで3点を奪った。後半には田中禅のヘディングシュートでサガン鳥栖U-18に1点を返されるも、名古屋グランパスU-18が2点差を守り切り、大会初優勝を飾った。

上写真=ボランチでチームの優勝に貢献した名古屋グランパスU-18の田邉(写真◎サッカーマガジン)

■2019年7月31日 第43回日本クラブユース選手権(U-18)大会 決勝(40分ハーフ)
サガン鳥栖U-18 1-3 名古屋グランパスU-18
得点者:(鳥)田中禅 (名)倍井謙2、榊原杏太

「次は絶対に優勝する」。6年前の誓い

 名古屋グランパスU-18の初優勝を告げるホイッスルが西が丘のピッチに響き渡った瞬間、10番を背負う田邉光平は両手の拳を強く握りしめた。

「10年間、グランパスでプレーして、一度も優勝を両親に捧げることができなかった。今日、優勝を捧げることができて、とてもうれしいです」

「小学2年生の終わり頃から」(田邉)、グランパスのアカデミーでプレーしてきた。あふれ出る感情には、両親への感謝が含まれる。10年間支えてくれた「両親や家族のおかげ」で、ついに日本一の座を勝ち取った。

 ちょうど6年前の夏にも、田邉はキャプテンマークを巻いて、日本一を決めるピッチに立っていた。小学6年生で迎えた『第37回全日本少年サッカー大会』で、決勝へと駒を進めた。しかし、鹿島アントラーズジュニアに0-2で敗れて準優勝。「そのときの成績がこれまでで最高」と言うように、それ以来、一度も決勝の舞台に立つことはなかった。

 当時の名古屋グランパスU12には田邉のほか、牛澤健、新玉瑛琉、石田凌太郎、岡崎流也、三井大輝、松山竜也がいた。今回は、高校3年までともに戦ってきた仲間と挑む2度目の決勝戦。6年前に誓った「次は絶対に優勝する」という言葉通り、再び訪れたチャンスを逃すわけにはいかなかった。

「みんな、ポジションをいろいろ変えながらですけれど、(グランパスに)残ってプレーしています。あのときの悔しさも、少なからず(優勝の要因として)あると思います。これまでは、てっぺんでの景色を見ることができていなかったので、ここ(西が丘)で見ることができて本当にうれしい」

 6年越しの大願成就。今大会も「チームの心臓」として戦ったボランチは、優勝までの道のりを、「ポン、ポン、と(優勝まで)行っちゃったなという感じです。決勝も前半で3-0となって、『こんなにうまく行っていいのか?』って思うくらい、自分たちのリズムで戦えました。体力面では、もちろん疲労はありますけれど、その中でも走れた実感があります」と振り返る。

 古賀聡監督も「選手たちが試合を重ねるごとに自信を深めて、今日の試合でも不安やプレッシャーというより、サッカー楽しみながら、頂点に立つことにしっかり向き合い戦ってくれた」と、優勝の要因を口にする。気負うことなく、持ち味を存分に発揮した選手たちの表情は、充実感に満ちていた。

「(チームの)一人ひとりに個性があって、それがプレーにも出て、見ている人を魅了する攻撃的なサッカーができたんじゃないかな、と。チームとして波に乗れたし、自分たちの大会だったなと、あらためて思いますね。優勝を成し遂げられて、ホッとしています」

 グランパス一筋で成長してきた田邉の屈託のない笑顔が、金色の優勝杯とともに輝いた。

取材◎小林康幸

関連記事

サッカーマガジン 2019年9月号


This article is a sponsored article by
''.