優勝争いに絡んでいくためにホームでしっかり勝ち点3を積み上げたい4位横浜FMと、残留争いに巻き込まれることを避けたい14位松本の対戦。ともに強く勝利を求めた試合は、横浜FMが苦しみながらも、FWエジガル・ジュニオがゴールをこじ開けて勝利を飾った。

上写真=4試合連続となるゴールを挙げたエジガル・ジュニオ(写真◎J.LEAGUE)

この1勝の価値は大きい

 前半から、ともにチャンスがなかったわけではない。横浜FMはボールを保持しながら機をうかがって縦を突き、ゴールに迫った。一方で松本は守る時間が長くはなったものの、危ない場面では徹底して体を張ってゴールを守り、カウンターで敵陣に切り込んだ。

 それでもスコアが動いたのは、試合終了10分前のこと。長らく攻めあぐねていたホームチームが歓喜の瞬間を迎える。途中出場の大津祐樹が遠藤渓太スルーパスに反応してボックス左横に進入。倒れながらもクロスを送ると、ゴール前でエジガル・ジュニオが相手CBエドゥアルドに体をぶつけながらもボールを収め、素早く反転して右足を振り抜いた。

 その2分後にはアウェーの松本も決定機を迎えている。左サイドから宮坂政樹をクロスを送り、右サイドからゴール前に進出していた田中隼磨がフリーでシュートを放った。しかし、ボールは枠には飛ばず。結局、スコアは1-0のまま、試合は決着した。

 両チームの監督が僅差のスコアで終わったゲームを振り返る。まずは、松本の反町康治監督。

「結果は残念なものになりましたが、ここ2試合はすごくストレスがあったというか、我々らしさが出せなかった。今日は勝ち点3もしくは1も取れなかったゲームでしたが、我々らしさは出せたと思います。もちろん『何をやっているんだ』と言われるかもしれませんが、我々の現在地での、持っている力は出し切ったと思います。結果に対する責任は私にありますが、内容に対する部分では、もっともっと向上できると今日の試合で感じました。それだけに勝ち点を持って帰りたかったというのが正直な感想です」

 そして横浜FMのポステゴグルー監督。

「去年だったら負けに等しい結果になったかもしれません。 しかし、今日は勝てた。結果が出たのは、(チームの)成長だと思います。(選手の)理解度が深まり、何よりもメンタルで強いものを持って試合に臨んだ点が大きかった。 前節に逆転負けをして、悔しい思いをしました。そこから何を学び、この試合につなげるのか。どのような思いでピッチに立つのか。それらを考慮し、いかに勝つのかを選手に伝えてきました。この難しい試合で、みんながハードワークをして最後まであきらめなかった。その結果、勝ち点3が取れた試合だと思います」

 松本は狙い通りにまずは失点しないことを念頭に試合を進め、攻撃ではロングボールで横浜FMのサイドバックの裏やボックス脇を狙った。だが、フィニッシュにかかるところでミスを犯したり、シュートの精度の問題もあって、ついぞネットを揺らすことができなかった。一方で横浜FMは狙い通りの展開に持ち込めなかったものの、自分たちのサッカーをやり続けることで勝利を手繰り寄せている。前半は後方でボールを回すことが多かったが、後半に修正を施し、敵陣に入って『間』で受けることを徹底。ボールを受けてはパスとドリブルを絡めて縦を突き、相手に圧力をかけ続けて、ゴールをこじ開けてみせた。

 三好康児が日本代表としてコパ・アメリカに出場するために不在で、マルコス・ジュニオールは出場停止。扇原貴宏も負傷で欠場中と、主力を欠きながらも横浜FMは勝ち切った。最少得点差であり、80分まで苦しんだという事実からすれば、辛勝とも言えるが、何よりベストじゃない中で勝利を手にしたのは大きい。

 負ければ、7位まで後退することもあり得た一戦で、4試合連続のゴールを決めた横浜FMのエジガル・ジュニオは言った。

「優勝するチームは、最後まであきらめない。その姿勢を今日、僕らは見せられたと思う」

 チャンピオンになるには、負けゲームをドローに、ドローゲームを勝利に持っていく力が必要と、よく言われる。この試合の横浜FMは、E・ジュニオが言う通り、その資格があることを示したのかもしれない。

写真◎Getty Images


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