上写真=球際でも強さを見せ、成長を強く感じさせた久保(左)
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■2019年2月23日 J1リーグ第1節
 川崎F 0-0 F東京

“多摩川クラシコ”となった開幕戦で、F東京は川崎Fと引き分けた。昨季王者にボールを持たれる展開となるが、簡単にシュートまで持ち込ませず、逆に鋭い反撃で相手ゴールに迫った。後半に勢いを増した川崎Fの攻撃もしのぎ切り、スコアレスドローで勝ち点1を獲得。アウェーであることを考えれば、まずまずの結果と言えるゲームで輝きを放ったのが、横浜FMへの期限付き移籍から復帰した久保建英だった。

欧州“復帰”も遠くない?

【動画】川崎FとFC東京の一戦はスコアレスドロー! 久保がドリブルで仕掛ける!

 横浜FMへの期限付き移籍期間を挟み、FC東京でのJ1出場は昨年4月14日の第8節以来となる。先発するのは、この日が初めてだったが、そんなことなどまったく感じさせず、久保建英はFC東京で別格の輝きを放った。

 4-4-2の右サイドハーフの位置に入り、攻守にわたり躍動した。ボールを持たれる展開となる中、7分には素早くカウンターに移って、ドリブルからディエゴ・オリヴェイラのシュートへとつながるボールを供給した。39分にも、日本代表にも選ばれた川崎Fのサイドバック、車屋紳太郎との競り合いにも負けずにボールをキープして右サイドから攻め上がると、惜しいスルーパスでスタンドを沸かせた。

 その1分後には、ボックス右でのFKで、思い切って左足を振るう。「何も覚えていない」と人の配置などは気にせず、ただゴールを狙った一撃は、強烈にニアポストを叩いた。

 昨年には見られなかったたくましさは、守備にも表れた。自陣で構える時はもちろん、相手ゴール前でもこぼれ球に果敢に食らいつき、スライディングで体も投げ出した。「チームのやるべきことというのが、やれていないと試合に出られない」との言葉を体現したからこその、先発出場だった。

 77分の交代までに力を尽くした17歳の奮闘を、長谷川健太監督も「素晴らしいの一言」と絶賛。横浜FMへ半年間の武者修行に出たことで「子どものメンタルだったのが、大人のメンタルに」変わり、フィジカル面での成長も競り合いやボール奪取に表れたと心身の成長を評価した。

「堂安(律)がヨーロッパに行く前くらいのレベルに来ている」。アカデミーを経験したバルセロナへの今年中の復帰が海外で噂される中、長谷川監督の一言はリップサービス以上の重みを持った。

 指揮官のそんな思いを知ってか知らずか、「欲を言えば、もうちょっと前で絡んで相手を動かしたかったけれど、押し込まれる中で及第点のプレーはできたかなと思います」。まったく満足していない久保の自己評価が、かえって待ち受ける未来の大きさを強く示唆していた。

取材◎杉山孝 写真◎J.LEAGUE


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