上写真=UAEでのトレーニングで選手に語り掛ける森保監督

 今夜20時(日本時間)、日本はアジアカップの初戦、トルクメニスタン戦に臨む。チームはいま、どんな状態にあるのか。UAEで取材を続けるスポーツライターの三村祐輔氏の直前情報を交えてお届けする。

不測の事態も消化済み

 今大会の日本代表は、初戦を迎えるまでに、いくつものアクシデントに見舞われた。それは相次ぐ選手の離脱だ。国内合宿前に招集予定だった浅野拓磨がケガで不参加となったのに続き、森保ジャパンの象徴とも言うべき『2列目のトリオ』の一人、中島翔哉がUAE入りしながらも負傷により大会に参加できなくなった。同じく森保体制下で代表デビューを飾ったボランチの守田英正も負傷し、すでに帰国の途についている。
 彼らに代わって招集されたのは、ロシア・ワールドカップ以降、代表未招集だった武藤嘉紀と乾貴士、そして2015年10月以来の代表参加となった塩谷司だ。

 攻撃の核だった中島に代わって追加招集された乾について、ほぼぶっつけ本番で森保ジャパン初の公式戦に臨むことに不安はないのか。三村氏によると、「(試合前日の)公式練習の前に行なっていたリフティングゲームでも一番大きな声を出していた。(合流後の練習を見ても)すでにチームになじんでいる様子がうかがえた」とのこと。ロシアW杯で左サイドハーフの乾と縦関係を築いてプレーしていた左サイドバックの長友佑都が、乾のキャラクターがプラス効果をもたらすと期待を寄せていたが、実際その通りに早くもチームを刺激している。

 森保監督は初戦の選手起用に関して「コンディション重視」の姿勢を示しているが、スペインリーグでプレーする乾はシーズン中だったこともあり、問題はないだろう。チームメイトとピッチ上でコンビネーションを深める必要はあるにせよ、貴重な実戦機会であるという点からも、展開次第では、早速トルクメニスタン戦で出番を得る可能性はありそうだ。その意味ではプレミアリーグでプレーする武藤や、UAEでプレーし、昨年末まで試合があった塩谷も同様だ。コンディション面の不安はない。また、3人は前回大会(2015年)の経験者であり、アジアカップを知っていることも大きい。

優勝候補が苦しむ初戦

 今大会の初戦では、前回王者のオーストラリアが格下ヨルダンに0-1で敗れ、韓国もフィリピン相手に苦しんだ末に1-0で勝利を収めるなど、優勝候補と目されるチームの苦戦が続いている。
 FIFAランクでは日本の50位に対し、トルクメニスタンは127位と大きな差があるものの、同41位のオーストラリアが同109位のヨルダンに敗れたのだから、やはり油断は禁物だろう。今回の日本チームは全体的に若く、アジアカップ自体が初めての選手も多い。つまりはこの大会の怖さを知らない選手が多いということになる。

 その意味もあって、前日会見で吉田麻也キャプテンは期待を込めつつ、若い選手へメッセージを送ったのかもしれない。以下は三村氏も印象的だったと語る、吉田のコメントだ。

「(会見中にたびたび口にした期待という言葉は時にプレッシャーにもなるが、若手をそのプレッシャーから守るためにどんなことをするのか、と問われて)『期待』は『プレッシャー』に変わり得ると思いますけど、そのプレッシャーの中で戦えるようにならないと、これから(W杯の)アジアの予選に関しても、もしくは個々の選手としてのキャリアとしても、戦っていけなくなると思うので。
 こういうプレッシャーの中で戦って、そういうところに身を置いて、自分を少しずつ成長させる、させていくことが、成長につながると思っています。これからヨーロッパで活躍していきたいと思っている選手ばかりなので、そういう意味でも、このプレッシャーに勝てるようにならないと次のステップは踏めないぞ、と。その意味をこめて、あえて『期待』という言葉を多く使っています。(若い選手たちが)期待の中で、結果を出す難しさというのを、この大会を通じて克服できるようになっていくことが日本サッカーの次のステップかなと個人的には思っています。
 もちろん、僕だけではなく、経験ある選手たちがそれを上手くサポートしながら、戦っていきたいなと思っています」

 日本は今大会で、史上最多記録を更新する5度目の優勝を狙う。そのためには、吉田が言うように「(若い選手たちが)結果を出す難しさを克服できるようになること」が重要だろう。
  
 経験のある選手と若手の融合を図り、互いに刺激し合う関係を築きながらチームとして成長し、その上で結果も出す。それが森保監督の理想とするところ。二兎を追って、二兎を得るーー森保ジャパンが臨む初の国際大会、大陸ナンバー1を決めるアジアカップが、いよいよ始まる。


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