上写真=ゴールを喜ぶ磐田の選手たち(写真◎J.LEAGUE PHOTOS)

 12月8日、J1参入プレーオフ決定戦が開催され、J1リーグ16位のジュビロ磐田がJ2リーグで6位の東京ヴェルディに勝利を収め、『J1残留』を果たした。

■2018年12月8日 J1参入プレーオフ決定戦
 磐田2-0 東京V
 得点:(磐)小川航基、田口泰士

大きかったPKによる先制点

【動画】磐田が東京Vを破りJ1残留! 小川航基がPKで先制点奪取!

 磐田は引き分け以上の結果でJ1残留が決まり、一方の東京Vは勝たなければJ1昇格が叶わない。J1参入プレーオフ決定戦のレギュレーションは上位チームに優位なものだが、J2・6位の東京Vはこの決定戦に至るまでに2つの下克上を成し遂げていた。1回戦で5位・大宮アルディージャを1-0、2回戦で3位・横浜FCを1-0と下した。

 J1最終節の川崎フロンターレ戦のアディショナルタイムに失点し、試合に敗れたために参入PO行きとなった磐田と、二つの下克上の末に決定戦に臨んだ東京V。この一戦に至った経緯から、勢いは東京Vにあると見る向きも多かった。

 だが、決定戦に勝ったのは磐田だった。「レギュレーションはありますが、われわれがアグレッシブに行くことが重要」と話していた戦前の名波浩監督の言葉通り、磐田は前からボールを奪いに行く積極性を示し、常に前向きの姿勢でプレーしてみせた。

 この重要な一番で先発に名を連ねた若きFW小川航と大久保嘉人のフロントラインのみならず、中盤の選手も守備の局面でしっかりボールを追って次第にペースを握っていった。

 得点が生まれたのは41分のこと。山田大記が最終ラインの裏に出したスルーパスに小川航が反応。相手GK上福元直人にエリア内で倒され、PKを獲得した。

 優位な状況をさらに優位にできる重要な場面。PKを任されたのは、小川航だった。名波監督が成長を促し、覚醒を期待してきた高卒2年目のストライカー。落ち着いてゴール左隅にボールを転がした。

「押せ押せの時間帯で、PKがすごく大事なものになるっていうのは分かっていました。ただ、決める自信はありました」

 1-0とした磐田は、その後も変わらず積極性を維持した。後半に入っても球際で戦い、前向きな守備から相手ゴールを目指す。東京Vも選手交代(奈良輪雄太→李栄直)とフォーメーション変更(3-4-3から4-4-2)を機に攻撃の圧力を増したが、ゴールは割らせない。そして決定的な2点目が決まった。
 
 78分、高橋祥平→山田とつないだボールをエリア手前で小川航が受け取り、シュート体勢に入るも渡辺皓太のファウルを受ける。絶好の位置で得たFK。田口泰士が右足で蹴ったボールは壁の間を抜けてゴールに吸い込まれた。

「悪くない試合をしていたが、PKは痛かった。そして2点目も。1-0のままなら、こちらが1点をとれば相手はナーバスになる状況になっていたが」(ロティーナ監督)

 敵将も嘆いた東京Vにとっての痛恨の2点目で、勝負は決した。磐田は1週間前の川崎F戦の反省を生かし、試合をきっちり終わらせると、J1残留を果たした。

「今話せることはない」

 終わってみれば、2-0。先制、加点と試合を進め、磐田は来シーズンもJ1で戦う権利をつかみ取った。

 しかし試合後、残留を果たしながらも来シーズンについて名波監督は現時点では「話せることがない」と口にした。

「来シーズンに向けて、個人的な進退の問題については正直、今話せることはない。(今日の試合で)負けたら間違いなく辞めるつもりでいました。この1週間があったことで、選手との契約に関することなど、クラブにも迷惑をかけることになるかもしれませんが、(話せるようになるまで)少し時間をもらえれば。このゲームに至った責任はすべて僕にあることは事実。現状はそこまでしか話せない」

 J1リーグで16位に終わり、プレーオフに回った責任を指揮官は感じていた。そのことで自身の進退について考えているという。

 14年シーズン途中に就任し、当時J2だったチームをJ1に引き上げて強化に努めてきた名波監督は、はたして5年目も磐田の指揮を執ることになるのか。近日中にも下されるであろう、その決断のが注目される。

写真◎J.LEAGUE PHOTOS


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