「どんどん突き抜けていきたい」

2月に行なわれた今季のJリーグ開幕を告げるFUJIゼロックススーパーカップ。それに先立ち開催された『NEXT GENERATION MATCH』で、真っ先に埼玉スタジアムを沸かせたのは、日本高校選抜の一員としてプレーした井上怜だった。得意の左足でゴールネットを揺らし、「気持ちよかった」と満足気に振り返った。この先制点で試合の主導権を握った日本高校選抜が、U-18Jリーグ選抜を2-1で破った。

日本高校選抜のメンバーの中で、井上は唯一の2年生(当時)。また、昨冬の全国高校選手権に出場できずも選ばれた選手のひとりでもある。一方で、井上のゴールをアシストしたFW飯島陸や、起点となるスルーパスを出したMF田部井涼(ともに現法政大)は、1月に全国高校選手権を制した前橋育英の中心選手。「周りは選手権で輝いていた先輩たちばかり。すごい人たちと一緒にやれたことは、とても自信になる。吸収することもたくさんあるので、そこは全部盗んで(市立船橋に)帰りたい」と、充実した表情を浮かべた。

昨年は2年生ながら、名門・市立船橋のレギュラーの座をつかんだ。Jクラブに進んだDF杉山弾斗(千葉)やFW福元友哉(岡山)、GK長谷川凌(水戸)らとともに、1年間を戦い抜いた。

しかし、連覇を狙った夏のインターハイでは、決勝戦を前に敗退。冬の高校選手権では、千葉県大会決勝で流通経済大柏に敗れ、全国への切符を逃した。高円宮杯プレミアリーグEASTでも、序盤戦は下位に沈むなど苦戦を強いられただけに、3年生となる今年度は「ぶっちぎりで首位を走って、プレミアリーグで優勝することが目標」と、語気を強める。

ただ、その野望は市立船橋でのし烈な競争を勝ち抜いたうえでのこと。「レギュラー争いは激しくなるし、気が抜けない。まずはポジション争いを頑張っていきたい」と、自負している。

実際に、得点を挙げた『NEXT GENERATION MATCH』でも、「得点は取れたけれど、それ以外は課題ばかり。もっとボールに関われるようにならないと、これからどのチームでもボールに触れなくなる。ボールに触った後にロストすることも多かったので、そこは直していきたい」と、反省点も口にした。

高円宮杯プレミアリーグの新シーズンが開幕し、「どのチームにも負けられない。これから、もっとチームでまとまって、強くなっていきたい。そして、自分もどんどん(力が)突き抜けていけるように、日々成長したい」と抱負を語る。

井上とイチフナの王座奪還に向けた戦いが始まった。

 
取材◎小林康幸
 

井上 怜[MF/市立船橋/3年]
いのうえ・れん/2001年1月18日生まれ、VIVAIO(ヴィヴァイオ)船橋SC出身。ボールを『止める、蹴る』技術に秀でたテクニシャン。ドリブルも武器のひとつ。165cm、58kg


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