2018年2月23日に開幕するJリーグは今年、創設25周年を迎えた。そこでサッカーマガジンwebでは、『四半世紀』を振り返るコラムを連載する。当時を知る記者が綴るJの歩み。第1回のテーマは日本サッカー界が大きな一歩を踏み出した『開幕』だ。

文◎平澤大輔(元サッカーマガジン編集長) 写真◎J.LEAGUE PHOTOS

カズ、井原、風間…

25年後の風景はまぶしかった。

現役を続けるカズ(横浜FC)が「リーグ戦でゴールを決めた最年長のプロサッカー選手」としてギネス世界記録に認定され、スポットライトを浴びている。井原正巳がアビスパ福岡の監督として、相変わらずの落ち着いた口ぶりでJ2を勝ち抜く決意を語っている。Jリーグの日本人初ゴールを記録した風間八宏も、名古屋グランパスの監督として、七重八重に群がる馴染みの報道陣たちと一緒に、洒脱なサッカー論議を楽しんでいる。

2018年2月15日、東京・港区で開催された「Jリーグキックオフカンファレンス」は26年目のリーグ戦開幕を祝う華やかな高揚の只中にあり、そこに、Jリーグ開幕当時、ヴェルディ川崎のエースだったカズ、同じく横浜マリノスの守備の要だった井原、サンフレッチェ広島のキャプテンとしてチームを束ねた風間など、1993年のあの時からシーンを牽引してきた面々がいた。彼らは、Jリーグが日本のプロスポーツとして25年という時間を確かに歩み続けている証しだ。

神々しい5月15日

25年前の風景もまぶしかった。

1993年5月15日、Jリーグ開幕。息が詰まるような、未経験の興奮がスタジアムを包んでいた。新しい時代の始まりに立ち会う、とはこういうことなんだ、という実感に、日本中が酔いしれていた。

「開会宣言。スポーツを愛する多くのファンの皆様に支えられまして、Jリーグは今日ここに大きな夢の実現に向かってその第一歩を踏み出します。1993年5月15日、Jリーグの開会を宣言します」(Jリーグチェアマン、川淵三郎=当時)

無駄を削ぎ落とした、ミニマムだが心に残る開会宣言が東京・国立霞ヶ丘競技場に響き渡ったあと、夢のような試合が始まった。

ご存知の通り、開幕カードはV川崎対横浜M。ともにスター軍団ながら、きらびやかな宝石のようなV川崎と、その輝きを余すことなく受け止めて構える横浜Mという矛と盾の対比が神々しかった。

スコアは2−1で横浜Mの勝利。Jリーグファーストゴールは19分にV川崎のFWマイヤーが豪快に叩き込むが、横浜Mは後半開始早々の48分にタフさが売りのMFエバートンが同点とすると、アルゼンチンのスターFWディアスが59分に逆転ゴール。このまま逃げ切った。

翌16日には残りの4カードが行なわれ、横浜フリューゲルス3−2清水エスパルス、サンフレッチェ広島2−1ジェフユナイテッド市原、鹿島アントラーズ5−0名古屋グランパスエイト、ガンバ大阪1−0浦和レッドダイヤモンズという結果となった。このJリーグ開幕を伝えた『サッカーマガジン』の表紙は、鹿島が名古屋を下した試合でハットトリックを達成したジーコの快哉のシーンが彩った。

こうしてJリーグという新しい物語が始まった。

画像: 川渕三郎チェアマンの開会宣言の後、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)対横浜マリノス(現横浜F・マリノス)の試合が行なわれた

川渕三郎チェアマンの開会宣言の後、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)対横浜マリノス(現横浜F・マリノス)の試合が行なわれた

さあ、次の25年が始まる

26年目のJリーグはどんな眩さを放つだろうか。

この25年でリーグはJ1からJ3までの3カテゴリーに分かれ、クラブ数は10から54にまで増え、そのホームタウンは38都道府県に広がっている。その間、リーグチャンピオンの称号は10チームに与えられ、リーグカップウィナーは12チームにのぼる。リーグでは1億6440万2664人が、リーグカップでは1368万9523人がスタジアムでその熱い戦いを目撃してきた。今年も多くのファン・サポーターがスタジアムに集うだろう。人々の人生の拠り所にまでなったJリーグは、日々を生き抜こうとする私たちのパワーの源になるべき存在として、今年も輝き続けてほしい。

26年目のJリーグ、開幕。またこの季節が巡ってきてくれて、ありがとう。

画像: 記念すべき開幕戦に勝ったのは横浜マリノス。試合終了の笛が鳴ると井原は両手を天に突き上げた

記念すべき開幕戦に勝ったのは横浜マリノス。試合終了の笛が鳴ると井原は両手を天に突き上げた


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