J1昇格実現へ準備着々

J2の千葉は1月16日に沖縄県南城市でキャンプをスタートさせ、30日で15日目を迎えた。

この日はオフ明けで午後練習のみ。陽が傾き始めた16時45分からスタート。体幹トレーニングをみっちりこなし、走力強化のペース走で汗を流していた。昨季のキャンプに比べると、1.5倍から2倍の距離を走り込んでいるという。

昨季はシーズン終盤に破竹の7連勝で追い上げたが、J1昇格プレーオフ準決勝で惜しくも敗退。看板の「ハイプレス、ハイライン」は諸刃の剣だった。最終ラインの背後にできる広大なスペースをカバーするGKへの負担は大きく、失点につながるミスが多く出た。そして、今季は新たな守護神を迎えて、J1昇格に向けての準備を進めている。

肌寒い日が続く、沖縄ではGKへの厳しいトレーニングが課されていた。照明が灯るなか、フィールドプレーヤーがピッチの周りを走っていると、ゴール付近からスペイン語の大きな指示が聞こえてきた。熱血漢のエスナイデル監督ではない。白い髭をたくわえたスペイン人が強烈なシュートをGKへ打ち込んでいた。今季、GKコーチに就任したエミリオの声は、ひと際グラウンドに響き渡る。エスナイデル監督とはスペインのヘタフェ時代にともに仕事をしており、かつては右腕として活躍。

「監督はGKも攻撃に関わることを求めている。ペナルティーエリア外でも主導権を握らないといけない」。指揮官の考え方を十分に熟知しており、キャンプでは熱血で指導する。

矢のようなシュートを受けていた選手の中にも、新しい顔が見える。アルゼンチンの強豪ロサリオ・セントラルから期限付きで加入したディエゴ・ロドリゲス(写真)。俊敏な動きで、シュートに飛びついてキャッチすると、素早く立ち上がり、スローイング。一連の動作には無駄がない。足でのボール処理もスムーズ。短い練習時間でも、技術の高さがうかがえた。

「アルゼンチン人のGKらしく、1対1に強い。足を使ったプレーもうまく、ビルドアップ能力に長けている」(エミリオGKコーチ)

本人も「足技のプレーは得意」と言葉に力を込める。同郷であるエスナイデル監督のサッカーもよく理解していた。

「アルゼンチン時代に同じようなタイプの監督の下でプレーしたことがある。僕の好きなスタイルだ」 
表情には自信がにじんでいた。ゲームの流れを読んでプレーするのが最大の持ち味だという。バルセロナのテア・シュテーゲンを参考にしており、「いつも見ている。アルゼンチン人じゃないけどね」と陽気に笑う。

名門のインデペンディエンテ、ロサリオ・セントラルの守護神として活躍し、U-20アルゼンチン代表としてもプレーした経験を持つ。その実績は折り紙つきと言っていい。

明るくお茶目な性格で、キャンプでは積極的にチームメイトともコミュニケーションを取っており、順応も早いようだ。沖縄の練習試合では、ゴールマウスに入った時間はいまだ無失点。仕上がりは上々だろう。

10季ぶりのJ1昇格に向け、ハイラインのリスク軽減への取り組みはキャンプで徹底して行なわれている。

取材◎杉園昌之


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