11月19日(日)、J2リーグ・42節(最終節)が各地で行なわれた。すでに1位・湘南ベルマーレの優勝とJ1昇格、2位・長崎のJ1昇格が前節までに決まっており、最終節はどのチームがJ1昇格プレーオフに進出できる3位から6位に入るのかに注目が集まった。

まず、この42節(最終節)を前にしたJ2の順位を整理すると、以下のようになる。

■J2リーグ(41節終了時点/カッコ内は得失点)
★1位 湘南  勝ち点82(+22)
★2位 長崎  勝ち点77(+15)
――2位以内が自動昇格――――
 3位 福岡 勝ち点73(+18)
 4位 名古屋 勝ち点72(+18)
 5位 徳島  勝ち点67(+27)
 6位 東京V 勝ち点67(+14)
――3~6位がプレーオフ進出――
 7位 松本  勝ち点66(+17)
 8位 千葉  勝ち点65(+11)
※★はJ1昇格決定


上記の順位表が示す通り、福岡と名古屋は4位以内が決定しており、11月26日に開催されるプレーオフ初戦をホームで戦えることが決まっていた。初戦は3位チーム対6位チーム、4位チーム対5位チームの間で争われ、それぞれの勝者が12月3日のプレーオフ決勝に臨む。

とはいえ、決勝に進んだ場合も順位が上のチームのホームでの開催となるため、福岡と名古屋にとって3位になるかどうかは重要な問題と言えた。

最終節、福岡は岡山(14位)とアウェーで対戦し、名古屋も讃岐(19位)とのアウェーゲームに臨んだ。

そして、福岡と名古屋以外の2枠を巡る争い、すなわち5位、6位争いはし烈を極めた。徳島、東京V、松本、千葉に可能性が残されており、最終節の結果によって順位が大きく入れ替わることもあるからだ。

■最終節のカードは以下の通り。

●東京V×徳島
●松本×京都
●千葉×横浜FC

6位の東京Vと5位の徳島が〝潰し合う”ことで、いろんな可能性が考えられた。徳島は勝てば5位に入り、文句なしでプレーオフに進出。東京Vも勝てば徳島を逆転し、5位となってプレーオフへ進む。

逆にこの直接対決に敗れると、7位の松本が勝利を収めれば勝ち点で逆転され、8位の千葉が勝利の場合も同様に逆転されることになる。つまり、この1試合で8位に転落する可能性もあるわけだ。

得失点差では徳島が圧倒的に優位な状況にあり、仮に東京Vと引き分けた場合、松本の勝利で順位を逆転されるが、千葉が勝利を収めて勝ち点68で並ばれても、千葉との間にある16ポイントの得失点差は圧倒的。現実的に6位に留まることは濃厚と言えた。

迎えた最終節。いずれの会場も緊張感漂う戦いが繰り広げられた。16時に一斉にキックオフされた試合でまず、スコアが動いたのは千葉対横浜FC。相手のクロスを溝渕雄志がクリアしようとするが、ボールは無情にも自軍のゴールへ吸い込まれてしまう。オウンゴールで千葉が失点。開始わずか1分の出来事だった。

そして松本。20分に京都の本多勇喜にミドルシュートを許し、欲しかった先制点を相手に献上してしまう。勝たなければプレーオフ進出の可能性が潰える松本と千葉が先行を許す苦しいスタートとなった。

最終節注目の〝潰し合い”も前半のうちにスコアを動かす。東京Vが優位にゲームを進め、徳島ゴールを何度も強襲する中で31分にFKの権利を得る。安在和樹が左足で正確なボールをゴール前に入れると、平智広が体勢を崩しながらも頭を合わせて先制に成功した。
過度に攻撃へ重心を傾け、失点をすることは避けたい。しかしながら得点しなければ勝ち点3はつかめず、未来を拓くことはできない――。難しいゲームマネジメントを強いられる中で、先制点は極めて重要な意味を持つ。

千葉が追いついたのは30分。右サイド深く侵入した町田也真人がクロスを上げると見せかけて直接ゴールを狙う。シュートは相手GK高丘陽平の虚を突き、ネットに突き刺る。前半のうちに同点に追いついた。

前半、3位から8位につけるチームにうちで、上記のほかにスコアシートに得点を刻んだのは名古屋。小林裕紀の縦パスが相手に当たってこぼれたところをシモビッチが冷静にシュートにつなげ、先制に成功する(26分)。

45分を終えた時点でのスコアは以下のとおり。

●岡山 0-0 福岡
●讃岐 0-1 名古屋
●東京V 1-0 徳島
●松本 0-1 京都
●千葉 1-1 横浜FC


ここまでプラン通りに進められていたのは東京Vぐらいだったか。とりわけ先行を許した松本はプラン修正が必要になった。

運命を決める残り45分――。最初にスコアを動かしたのは徳島だった。49分、馬渡和彰が右サイドを深い位置からクロスを送り、ニアサイドに走り込んだ渡大生が右足で合わせ、ネットを揺らす。ゲームを振り出しに戻してみせた。

ここからいずれの試合会場でも、1点を巡る攻防が激しさを増していく。まさしく総力戦。それでも、なかなか得点は生まれなかった。徳島が前半の勢いを駆って攻勢に出る。千葉も町田也真人がゴール前でフリーで決定機を迎えたが、決めきれない。スタンドに集まったサポーターの後押しを受けた松本の総攻撃も京都の堅い守りの前に得点にはつながらない。

『5位、6位争い』は次第に膠着状態へ。一方で『3位、4位争い』が目まぐるしく動く。52分、右サイドから上がった松田力のクロスにウェリントンが飛び込み、福岡が先制に成功。ようやくリードを奪った。しかし、その7分後にはFKの流れからエリア内の混戦を制した喜山康平に決められ、岡山に同点とされた。

名古屋は66分、田口泰士の落としを櫛引一紀がダイレクトでシュート。首尾よく2点目をスコア。讃岐を突き放した。この時点で3位名古屋、4位福岡と順位が逆転する。

時計の針が進み、いよいよ試合も終盤を迎えると今度は、『5位、6位争い』にも動きがあった。88分、後半は徳島に劣勢となる場面が多かった東京Vが起死回生の一撃を決める。左CKの場面で梶川諒太が蹴ったボールを畠中槙之介が頭で競り、こぼれたところを内田達也が押し込み、試合終了間際に勝ち越しに成功したのだ。

さらに劇的だったのは千葉。90分を過ぎ、後半アディショナルタイムもまもなく2分を迎えようしていたとき。右CKの場面でキッカー清武功暉が送ったボールにキャプテンの近藤直也がヘッドを合わせ、値千金の勝ち越しゴールを決めた。勝利のみが運命を切り開く状況で、土壇場も土壇場、アディショナルタイムに勝利の権利を得たのだった。

結局、他会場はそのままスコアが動かず。終盤に攻めに攻めたが松本は京都ゴールをこじ開けられずにタイムアップ。東京Vは徳島を下し、千葉は劇的な勝利をつかんだ。名古屋、福岡もそのままタイムアップの笛を聞いている。

画像: 試合終了直前に勝ち越しに成功した東京V。5位となりプレーオフ進出を決めた

試合終了直前に勝ち越しに成功した東京V。5位となりプレーオフ進出を決めた

画像: ゴールが遠く、京都に敗れた松本。試合終了直後、パウリーニョはピッチにしゃがみこんだ

ゴールが遠く、京都に敗れた松本。試合終了直後、パウリーニョはピッチにしゃがみこんだ

最終スコアは以下の通り。

●讃岐  0-2 名古屋
●岡山  1-1 福岡
●東京V 2-1 徳島
●千葉  2-1 横浜FC

この結果、順位は以下の通りに。

■J2リーグ最終順位
★1位 湘南  勝ち点83(+22)
★2位 長崎  勝ち点80(+18)
――2位以内が自動昇格――――
 3位 名古屋 勝ち点75(+20)
 4位 福岡 勝ち点74(+18)
 5位 東京V 勝ち点70(+15)
 6位 千葉  勝ち点68(+12)
――3~6位がプレーオフ進出――
 7位 徳島  勝ち点67(+26)
 8位 松本  勝ち点66(+16)
※★はJ1昇格決定

今季も最終節にドラマが待っていた。数字上、プレーオフ進出可能性が最も低かった千葉は6位に滑り込み、ホームのアルウィンで優位と目されていた松本は8位に沈んだ。そして得失点差で最も優位な立場にあった徳島もプレーオフ進出圏外へ…。

11月26日(日)、プレーオフ準決勝のカードは名古屋×千葉、福岡×東京Vに決まった。


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