ベルギーリーグのプレーオフ2第9節が17日に行われ、シント=トロイデンVV(他にSTVV)がホームでルーベンと対戦した。STVVは今季限りで引退を発表している岡崎慎司、伊藤涼太郎、山本理仁、藤田譲瑠チマ、鈴木彩艶が先発し、ルーベンは三竿健斗、明本考浩が先発。試合は1−1のドローに終わった。

上写真=交代でベンチに下がる際、両チームの選手たちが花道を作り、岡崎慎司を送った(写真◎STVVは)

20シーズンを戦い抜いた日本を代表するストライカー

 シント=トロイデンVVに所属する岡崎慎司は現地17日、ベルギーリーグのプレーオフ2・第9節、ホームで行われたルーベン戦に先発出場した。

 伊藤涼太郎、山本理仁、藤田譲瑠チマらが中盤を構成したSTVVは試合開始直後からボールを握ったが、チャンスをゴールにつなげられない時間が続く。1トップを務めた岡崎は15分に鋭く裏に飛び出して山本からのパスを引き出すも、ボックス内で相手DFに阻まれてシュートに持ち込むことはできず。前半をスコアレスで終えた。

 岡崎は53分に、ファティ・カヤと交代。ベンチに下がる際にはSTVVの選手のみならず、三竿健斗、明本考浩が所属するルーベンの選手たちも一緒になって花道をつくり、スタンドのファン・サポーターも拍手と歓声で送り出した。

 試合はその後、65分にカヤが強烈なミドルシュートを決めてSTVVが先制に成功。だが、その約10分後にソルスティンソンに決められ、1−1の同点になる。ルーベンの攻撃を再三の好守でストップしていたGK鈴木彩艶も防ぐことはできなかった。

 試合は結局、そのままドローで決着。勝ち点1を分け合った。今月26日にプレーオフ2の最終戦・ヘント戦を残すものの、STVVにとってはこの日がホーム最終戦。今季限りの現役引退を発表している岡崎にとっては、現役最後のホームゲームであり、本人の思いとして文字通りのラストゲームだったようだ。

「(試合では)最後までフィンクが監督でよかったなと思う場面がありました。きょうも最初は『20分でどうだ』と言われていたんですけど、監督も勝ちたいので当然の意見を言ってもらえて、で、自分は『出たいです』と。そこで僕の決意も固まって、足が痛い中でのプレーだったですけど、飛ばしていこうと。行けそうだったら、前半やりきらせてほしいと言って、それで監督が使い続けてくれた」

 38歳のストライカーは、2005年に清水エスパルスでプロキャリアをスタートさせたあと、2011年にヨーロッパに渡り、シュツットガルト、マインツ(ドイツ)、レスター(イングランド)、ウエスカ、カルタヘナ(スペイン)、そして2022年からはシント=トロイデンVVで、通算20シーズンをプレーしてきた。日本代表としても歴代3位の50得点という偉大な記録を刻んでいるが、何より鮮烈に人々の記憶に残るのは、常に全身全霊でプレーする姿だろう。

「ずっとこうやって、そういう生き方をこのヨーロッパでやり続けてきたなと思って。最後までやりきるっていう意味ではらしい終わり方だなと思う。ああいうふうにやってもらうのも(=花道をつくる)、相手チームまでやってもらえて。本当にいい終わり方ができた」 

 世界で戦い、長らく日本サッカーを引っ張ってきた岡崎慎司は、自身の信条であり、代名詞でもある全力プレーを、最後の最後まで全うした。

試合後にはチームメイトたちと記念撮影(写真◎STVV)