ラ・リーガ(スペイン)の第11節が現地29日に行われた。久保建英が所属するレアル・ソシエダはアウェーでラージョ・バジェカーノと対戦。先行を許しながらも一度は逆転に成功したが、アディショナルタイムに追いつかれて、2−2のドローに終わった。久保は先発し、80分までプレーした。

上写真=久保建英はラージョ戦に先発して80分までプレー。交代後にチームは同点に追いつかれてしまった(写真◎Getty Images)

土壇場で2ポイントを失う

 先制したのはホームのラージョだった。31分の直接FK。ルジューヌが放った鋭く低いキックはGKレミーロが一度は弾くも、こぼれ球をムミンが蹴り込んだ。

 目の覚めるような一撃で、先に失点することになったソシエダだが、序盤から劣勢だったかと言えばそうではない。ラージョの激しい球際と推進力に手を焼く場面もあったものの、スキルフルなプレーは効果的で、たびたび相手守備陣を後手に回らせていた。

 41分の同点弾は、そのスキルの連鎖が生んだようなゴールだった。スビメンディが敵陣を縫うような縦パスを通し、受け手のブライス・メンデスは敵陣中央でピタリとボールを止め、すぐさま左のバレネチェアに展開。左サイドから送られたクロスは綺麗な弧を描き、ボックス内に走り込んだオヤルサバルにドンピシャで届く。そしてソシエダのナンバー10は冷静に右足ボレー。鮮やかなコンビネーションと優れたスキルによるゴールで、ソシエダは前半のうちに試合を振り出しに戻した。

 後半、勢いを駆ってソシエダが勝ち越しゴールを手にした。65分、ブライス・メンデスとのワンツーでボックス右に進出した久保がクロスを上げると、対峙していた相手の左サイドバック、エスピーノの手にあたり、PKを獲得。これをブライス・メンデスが決めて、ソシエダが逆転に成功した。

 互いに攻めの姿勢を見せつつも、試合はアディショナルタイムに突入。80分には久保もウマル・サディクと交代し、ベンチに下がっており、試合はそのまま決着するかに思われた。だが、試合はそのまま終わらず、劇的な展開が待っていた。85分に交代でピッチに入ったラージョの10番、ベベがミドルシュートを決めたのだ。

 90+1分、右サイドからドリブルで中央へと進んだべべがボックスの外から右足を一閃。GKレミーロは虚を突かれる形となり、一瞬反応が遅れた。低く鋭いシュートがゴール左下に突き刺さった。敗色濃厚な状況から同点に持ち込んだラージョの選手たち、サポーターも当然ながら歓喜に沸いた。

 一方でソシエダはまたしても久保がベンチに下がった後にスコアが動き、勝利を逃すことになった。シーズン序盤、試合の終盤に失点を繰り返したが、この試合でまたもその悪癖を露呈してしまった。先制されるも追いつき、勝ち越して迎えたアディショナルタイムに失点。ソシエダにとっては、勝ち点1を敵地から持ち帰るというポジティブな思いよりも、土壇場で勝ち点2を失ったという思いの方が強い一戦になったかもしれない。

 ソシエダの次のリーグ戦は現地11月4日、ホームでバルセロナと対戦する。