上写真=決勝トーナメントでも変わない姿勢で戦いたいと話した大岩剛監督(写真◎Getty Images)
A代表の試合は選手みんなが見ている
準々決勝の北朝鮮戦を翌日に控えた大岩監督は、冷静だった。日本は2歳下かつオーバーエイジ(OA)を使わないチーム編成。それに対して北朝鮮はOAもチームに加えている。だが、「ノックアウトステージを見据えて準備してきた。明日もしっかりやるだけ」ときっぱり。
過去に『AFC U-23アジアカップ』を2度制している指揮官は、北朝鮮の特徴も把握済みだ。
「組織立って攻守においてアグレッシブにやってくるイメージはあります。当然、体の強さは年齢面のメリットがあって、それを前面に押し出してくるようなスタイル。そういうイメージは持っています」
準々決勝の対戦相手が北朝鮮に決まると、日本が国連加盟国の中で唯一、国交のない国ということで周囲は騒がしくなり、注目度も上がった印象もある。ただ、指揮官はピッチ内に集中していた。
「そういうのも含めて、サッカーの試合だと思いますが、そういうものにあまり左右されずに、しっかりピッチの中でのプレーに集中したい。我々がグループリーグでやってきたこと、3試合で積み上げてきたものをしっかり踏まえた上でプレーをしようと選手には話しています」
ノックアウトステージの試合だからといって、アプローチを変えるわけではない。「やり続けてきたこと」を北朝鮮でも表現するだけだという。冒頭15分間、公開された練習でも最初のセッションでアンカーを使ったボールの運び、展開を確認していた。
「コンビネーションを最後まで合わせていく。当然それは得点に結びつけるための準備なので、いかにその確率を上げていくか。そういう部分は色々な角度から上げていかなきゃいけないと思っていますので、その準備をしています。選手にはピッチの中でそれを明確に発揮してほしい」
代表戦に簡単に勝てる試合などない、というのは指揮官が繰り返し語る考えだが、北朝鮮も難しい時間帯は必ず訪れるだろう。ただ、それも踏まえて選手には『通常運転』を期待する。
「今までわれわれがやっていることをやってほしいということだけですね、要望だけで言えば。それは選手にも伝わっていると思う。いろんな形で今までも積み上げてきているので、そういう部分では何回も言いますけど、相手うんぬんではないので。しっかりと自分たちのやるべきことをやりたい」
今年1月のU‐23アジアカップで頂点に立った選手が16人選ばれている今回のメンバーには、成功体験があり、自国開催のプレッシャーを感じている様子も見られない。むしろ持ち味を発揮することに貪欲だ。今回はとくに同時期にA代表の試合が国内で行われており、ロス五輪世代の塩貝健人、後藤啓介、佐藤龍之介、齋藤俊輔が選ばれている。彼らの活躍の方が刺激という点で影響があるかもしれない。指揮官もその部分には期待していた。
「この大会にしっかり集中しているので、A代表がやっているから、何か影響されて、ということはないです。ただA代表の昨日の試合はおそらく選手みんなが見ていると思うので、いい影響を自分たちが受けていれば、それがより力になるでしょうし。私自身から、そんなに強いアプローチをしているわけじゃないですが、刺激を受ける存在ではありますので、自然とそういうものを受けて、自分たちの力に変えてほしいという風には思います」
男子サッカーにおいて日本が金メダルを獲得したのは、過去にたった一度、2010年の広州大会のみだ。1994年の広島大会以来、実に32年ぶりとなる自国開催の舞台は、史上2度目のアジア制覇という新たな歴史を刻むための絶好のシチュエーションではある。
大岩監督が積み上げてきたものを出すだけと繰り返すのは、今、最終目標へ向かう途上にいるという自信の表れだろう。ファイナルまで残り3試合。まずは北朝鮮戦で勝利をつかむーー。