U-23日本代表が現地17日、パリ・オリンピック前最後の強化試合としてU−23フランス代表と対戦した。日本は藤田譲瑠チマの得点で前半に先制するが、後半早々にゴールを許し同点に追いつかれた。その後は攻め込まれる時間が長くなるが、粘り強いプレーを見せ、試合は1−1の引き分けに終わった。

上写真=粘り強い守備を見せた日本。相手の猛攻をしのぎ、試合は1−1のドローに終わった(写真◎Getty Images)

■2024年7月17日 国際親善試合(@フランス・トゥーロン)
U23フランス 1−1 U23日本
得点:(フ)ミカエル・オリーズ
   (日)藤田譲瑠チマ

藤田譲瑠チマのゴールで先制

 試合序盤は、五輪開催国のフランスの圧力に苦しんだ。攻撃の局面でビルドアップを試みるも、構えて守る相手を突破できず、なかなかボールを前に運べない。後方でボールを回しては奪われるシーンも散見。一方、守備でもハイプレスが空転する場面が目立ち、後手に回った。

 しかし、日本はファーストシュートをゴールに結びつけてみせる。25分、この試合で初めて前線からのプレスがはまった。藤尾が相手GKレストにプレッシャーをかけ、アンカーのコネにボールをつながせると、そのままプレスバックスしてボールに絡む。そのこぼれ球を三戸が回収し、藤田とスイッチしてヒールキックでパス。ボールを引き取ったキャプテンはフリーでボックス左から切り込み、日本が先制に成功した。

 狙っていた形からネットを揺らしたことで日本のビルドアップはやや改善した。相手のプレスに臆せずボールをつなぎ、守備でも高い位置からプレッシャーをかけるシーンが増える。36分には自陣からカウンターも仕掛け、山本の縦パスから三戸が突破をはかり、ボックス内で倒れ込んだ相手DFバデのハンドを誘発。主審がPKを宣告したが、VARチェックの結果、直前に三戸のファウルがあり、PKは取り消しとなったが、日本の攻めが形になったシーンだった。

 1−0で後半へ折り返した後半、日本はスタートから木村に代えて西尾、関根に代えて大畑、藤尾に代えて細谷を投入。本大会前の『準備試合』で予定通り、選手をテストした。だが、最終ラインの2人を交代させた影響か、前半、いいリズムで守れていた守備陣に混乱が生じる。開始30秒と経たぬうちにフランスのオーバーエイジ選手、ラカゼットにシュートを許すと、47分には敵陣のFKの場面でボックス手間まで蹴り込まれたボールをラカゼットに頭でつながれ、フリーでオリーズにミドルシュートを叩き込まれてしまった。

 1−1の同点になったあと、後半からギアを上げたフランスに押し込まれる場面が増えたが、日本も粘り強い対応で追加点を許さない。フランスも選手を次々と交代させていく中、82分にはドゥエにフリーでシュートを打たれるが、GK小久保がストップ。ハイボールに対しても終始、安定した対応を見せていた日本の守護神のビッグプレーで日本は失点を免れた。

 試合はそのままドローで終了。開催国であり優勝候補の呼び声高いフランスとの大会前最後のテストマッチは引き分けた。守備の時間が長く、後半は攻め手に乏しい印象を残したが、強豪国相手に粘り強い守備や連係を確認できた点はプラスだろう。

「昨日、こちらに着いたのでコンディションを整えることが(この試合の)第一目的でした。(先制点は?)われわれの強みのミドルゾーンでの守備からのショートカウンターで、そういうところはよくできたと思います。フランスの地でゲームができたということ、ピッチ状態だったり環境だったり、それにまず慣れるということ(ができた)」

 フラッシュインタビューに答える大岩剛監督も本番に向けて手応えを感じた様子だった。試合前日に選手が全選手が集合したばかりでコンディション面の難しさもあった中、約1カ月キャンプを張り、大会に備えるフランスとのドローは悪くない結果だ。また、フランスが5日に日本の初戦の相手であるパラグアイと対戦し、4−1で勝っている事実を踏まえても、この結果は日本にとってポジティブと言えるかもしれない。

 日本の大会初戦は1週間後の24日(現地)。「しっかりコンディションを整えて初戦に向かいたいと思います。目の前の試合にしっかり勝ち続けて階段を一歩ずつ登っていきたい」。指揮官は改めてパリ五輪の目標を口にした。

▼出場メンバー
・U23日本◎GK小久保玲央ブライアン、DF関根大輝(46分:大畑歩夢)、高井幸大、木村誠二(46分:西尾隆矢)、半田陸、MF山本理仁(72分:川﨑颯太)藤田譲瑠チマ、三戸舜介(88分:佐藤龍之介)、FW平河悠、藤尾翔太(46分:細谷真大)、斉藤光毅(62分:佐藤恵允)