5月3日(日本時間・24時30分)、U―23日本代表は『AFC U23アジアカップ』の決勝・U―23ウズベキスタン代表戦に臨む。準決勝でU−23イラク代表を破り、すでにパリ五輪出場権を獲得しているが、チームが目指すのはあくまでアジアの頂点だ。2年前の悔しさを晴らしてカップを掲げられるか。現地から直前のチーム状況をリポートする。

2年前に比べて「チームになった」

準決勝でイラクを破り、パリ五輪出場を決めた日本(写真◎Getty Images)

「借りを返す」となったのは理由がある。2年前のAFC U23アジアカップ。ウズベキスタンで開催されたこの大会は、“大岩ジャパン”にとって初めての『本格的な』オフィシャルの国際舞台。年齢制限より2歳低いチームで参加した日本だが、4強まで勝ち残る強さを見せた。

 ただ、ここで開催国のウズベキスタンに0−2と敗戦。彼らもまたパリ五輪を見据えて年齢制限より2歳若い編成で参加しており、日本と年齢的な差のないチームだった。にもかかわらず、内容でも大きく上回られる形で、苦汁をなめることになった。

 試合間隔の短い連戦でのコンディショニングを含めて当時得られた教訓は現在のチームにフィードバックされているが、そういった面だけでなく、そもそものチームとしてのベースが違うという自信もある。MF藤田譲瑠チマは、言う。

「ウズベキスタンのとき(2年前)は本当に個人個人でやるという感じでした。試合に出られない選手は落ち込んでいるし、言っちゃえば不貞腐れている選手もいました。でも今回は悔しい気持ちを持った選手は何人もいますけど、そういった選手も今日の練習も、前回の試合前の練習でも、試合の時のロッカールームでも、チームのために動いてくれたり、声をかけてくれる。本当に良いチームになれたなと思っています」

 競争心もあり、プライドもある代表選手たちが一つのチームになるのはある種の難しさがあるが、苦境を共有し、感情を共にする中で間違いなくチームは一段の変化を遂げた。

 一方で、「このメンバーでやるのも最後」(FW細谷真大)という覚悟も決まっている。五輪の本大会へ向けてはメンバーが再編されることになるのも、皆がわかっていることだからだ。

 だからこそ「寂しさはあるんですけど、最後は負けて終われないところがある。勝って全員で喜びたい」(GK小久保玲央ブライアン)という思いも全員が共有している。

 今大会無失点で勝ち残ってきたウズベキスタンは、紛れもない大会のベストチームの一つ。「素晴らしい相手」(大岩監督)に打ち勝ち、まずアジアの頂点に立つことを目指す。パリの話は、その後でいい。

取材・文◎川端暁彦