日本時間29日(26時30分開始)、U―23日本代表は『AFC U23アジアカップ』の準決勝に臨む。開催国のカタールとの準々決勝は延長戦に突入する激闘となったが、中3日の日程を有効活用し、U23イラク代表戦へ準備を整えている。勝てば、パリ五輪出場が決まる重要な一戦。現地から直前のチーム状況についてリポートする。

大会前の練習試合は1−0で勝利

前日会見に登壇したU23イラク代表のザイド・タシーンとラディ・シェナイシル監督(写真◎AFC)

 対する日本は中2日で続いてきた今大会、初めての中3日となる時間をフル活用して準備を進めてきた。試合翌日は完全オフにして心身の回復を優先。27日の練習も、準決勝に一定時間以上出ていた選手たちは軽めの調整に終始。さらに消耗の大きかった山本は練習自体を回避している。

 28日の練習は冒頭を除いて非公開だったが、本格的な戦術練習はこの1日のみ。コンディション調整を優先させながらも、1日はしっかり練習ができるという流れは「中3日」ならでは。中2日だったこれまでに比べて「まるで違う」と大岩剛監督が言うのも当然かもしれない。

 気になるメンバーだが、調整モードの山本は先発から外れることになりそうな一方、その他のメンバーについては読めない部分も多い。中2日の連戦では大幅なメンバー入れ替えを繰り返してきた大岩監督だが、中3日となり、しかも「勝てば五輪切符」というシチュエーションも加味すれば、多少無理させても良い状況に思えるからだ。

 王道の選択は山本の位置に松木を回して荒木遼太郎(FC東京)を先発させる形か、あるいは川﨑颯太(京都サンガ)の先発もあるか。また、消耗の激しい両翼は入れ替えもあるかもしれない。

 本来の主力格であるDF西尾隆矢(C大阪)が出場停止から戻ってきているが、ここでいきなり先発復帰はさすがに博打だろう。CBに故障者が出ているわけでもないので、守備固めの起用などはあるにしても、先発起用はないとみる。左SBには内野貴史(デュッセルドルフ)の起用もありそうだ。

 イラクとは大会前の練習試合で対戦済みで、結果は1−0で日本が勝利。ただ、押し込み続けながらも点は取れない、嫌な流れには持ち込まれたと言う。伝統的に泥臭い戦いを得意とする試合巧者のイラクに対し、ズルズルと蟻地獄に引き込まれていくような流れはやはり避けたい。

『ドーハの悲劇』のようにロスタイム(あえて、こう書く)に運命を委ねるような展開ではなく、立ち上がりから主導権を握って殴り勝つような、アクティブなサッカーを期待したい。

取材・文◎川端暁彦