上写真=メキシコ戦は途中出場。アメリカ戦で先発が期待されるチェイス・アンリ(写真◎飯尾篤史)
早くそのピッチに立ちたいなと
代表チームの活動に参加するのは、今年5月のU-20ワールドカップ以来5か月ぶり。ドイツ4部リーグのシュツットガルトⅡに所属するセンターバックのチェイス・アンリにとって、今回の招集は待ちに待ったものだった。
「自チームでも試合に出ているし、このチームはパリオリンピックを目指しているっていうことで、自分も早くそのピッチに立ちたいなって思っていました」
海を渡ったのは22年4月のこと。昨季はシーズン終盤になって出場機会を掴み、今季はコンスタントに試合に出られるようになった。その背景にはメンタル改善がある。
「正直、最初の頃は遠慮もあったんですけど、自分が目指しているのはもっと上。ここにずっといるわけにはいかないと思って。練習中から相手を潰したり、何を言われても気にせず。練習時間は1時間とか、1時間半しかない。その時間でアピールしないといけないんで、強く行く。球際で負けない。弱く行ったら、海外では舐められるんで、そういうところを変えたら、試合に出られるようになりました」
メンタル改善がもたらしたのは、セカンドチームのレギュラー奪取だけではない。今季はトップチームの練習に参加する機会が増えた。
「9月のインターナショナルマッチウイーク中は週3回参加させてもらいました。翌週、代表選手たちが全員戻ってきたあとも、週3回呼んでもらって、大きかったですね」
シュツットガルトは近年の低迷がウソのように、現在、ブンデスリーガで2位につけている。前線を預かるのはギニア代表のセール・ギラシ。13ゴールで得点ランキングのトップを走るストライカーとのバトルが、チェイスを成長させている。
「ギラシ選手は強烈ですね。でも、あの人とやることによって、セカンドチームのFWは甘く見えますからね。同じセンターバックの(ダン=アクセル)ザガドゥ選手や(バルデマール)アントン選手からも学んでいます。ザガドゥ選手だったら、やっぱりヘディングですね。アントン選手からは、守備のポジショニングとか、細かいところを参考にしています。足の向きがちょっとズレただけで裏を取られるので、アントン選手は今の1番の見本ですね」
10月14日に行われたメキシコ戦は82分からの途中出場にとどまったが、17日のアメリカ戦ではスタメン起用が濃厚だ。
「この世代でやるのは久しぶりなので勝って終わりたいですし、相手FWを全員潰したいですね。あと、自分がゴールを決めるっていう気持ちでやりたい。1点は決めたいですね」
U-20ワールドカップではセネガルやコロンビアのFWと互角以上に渡り合ったが、アメリカ戦ではさらに進化した姿を披露してくれるはずだ。
取材・文◎飯尾篤史