現在、U−22日本代表はアメリカ遠征中だ。今回の活動では浦和の大畑歩夢、FC東京のバングーナガンデ佳史扶による左サイドバックのポジション争いが注目ポイントの一つになっている。現地でチームを追う飯尾篤史氏がリポートする。

上写真=アメリカ遠征でトレーニングする大畑歩夢(写真◎飯尾篤史)

2回続けて選ばれたくらいでは…

 このレベルになると、どのポジションも争いは熾烈だが、なかでもハイレベルな戦いが繰り広げられているのが左サイドバックだ。

 浦和レッズの大畑歩夢か、FC東京のバングーナガンデ佳史扶か。

 メキシコ戦2日前のトレーニングでは、大畑がレギュラー組と目されるチームに入ってアピールを続け、一歩リードを印象付けた。

「佳史扶はA代表にも入った経験のある選手なので、良いところは盗みたいし、練習ごとにサイドバックのポジショニングとかを話し合いながら、どういう考えでやっているのか聞いています。ただ、他にもサイドバックの選手はいるから、彼ひとりを見ているわけではない。あまり意識せず、自分のペースでやっていきたいと思います」

 サガン鳥栖に所属していた19歳の頃からJ1クラブでレギュラーを張っていた実績から、22年12月の大岩ジャパン発足当初、左サイドバックの第一人者として期待されていた。だが、負傷やコンディション不良のため、昨年の代表活動で参加できたのは9月の欧州遠征だけ。

 今年に入ってようやく9月のパリ五輪アジア1次予選、今回のアメリカ遠征と初めて2回続けて選出された。

「でも、2回続けて選ばれたくらいでは……。危機感はあります。まだまだ全然。いや、危機感しかないです」

 パリ五輪アジア1次予選が行われたバーレーンは気温35度以上、湿度75%を上回る過酷な環境だった。その異常とも言える暑さによって体調を崩したのは過去の話。今はすっかりコンディションを取り戻している。

「あの暑さのなか、2試合にフル出場して、帰国したあと1、2週間はなかなか疲れが取れず、眠い感じがあったんです。でも、代表に来る少し前くらいから体が戻ってきて、今はフレッシュな状態でやれています。試合に出たら、求められている攻撃のクオリティの部分と、守備で絶対にやられないことを意識してやっていきたいと思います」

 ちなみに、10月11日に行われた横浜F・マリノスと浦和のルヴァンカップ準決勝第1戦は朝早くから起きて、生で見ていたという。

「やっぱり気になるんで。いつも(鈴木)彩艶とふたりで見ていたんです。昨年9月のセレッソ戦(準決勝)も、今年9月のガンバ戦(準々決勝)も。今回は彩艶がいないんで、初めてひとりで見ました。結果は、残念でしたけど……」

 遠く離れたアメリカの地でレッズの決勝進出を祈りつつ、現地14日のメキシコ戦で自身の強みを存分に発揮するつもりだ。

取材・文◎飯尾篤史