U−22日本代表がアメリカ遠征に臨んでいる。日本時間10月15日にU−22メキシコ代表と、18日にはU−22アメリカ代表とそれぞれ対戦。2日目のトレーニング後、バイエルンに所属する福井太智を取材。現地でチームを追う飯尾篤史氏がリポートする。

上写真=今回の活動に強い決意を持って臨んでいる福井太智(写真◎飯尾篤史)

自分の力がどれだけ通用するのか

 今年5月にU-20ワールドカップを戦った“U-20世代”の福井太智にとって、パリ五輪を目指す一つ上の世代――U-22日本代表への招集は、待ちに待ったものだったようだ。

「いつ選ばれてもいいように常に準備していました。この年代で自分の力がどれだけ通用するのか。自分の力を最大限に発揮するだけです」

 そのアルゼンチンで開催されたU-20ワールドカップ。サガン鳥栖U-18で日本一に輝き、16歳7ヶ月でトップデビューを果たし、現在はバイエルンに所属する福井にとっては「挫折」と表現できる経験となった。

 5ヶ月前、ボランチのレギュラーの座を託された福井は「将来、A代表に入ってワールドカップで優勝するのが自分の夢。だから、この大会で優勝して次につなげたい」と公言していた。

 ところが、チームは3試合とも先制したものの、2戦目のコロンビア戦、3戦目のイスラエル戦で逆転負けを喫し、グループステージ敗退の憂き目に遭ってしまう。

「あの大会に優勝しに行った中で、予選敗退となってしまって、本当に悔しい思いをしました。ああいった負け方はもう絶対にしたくないですし、ああいった悔しさも2度と味わいたくない。

 あの大会では最後のところでやられることが多くて、チームとしてそうした部分が足りないと感じました。そこで自分がどれだけチームを動かせるかが重要だと感じたので、自チームに戻ってからも、『自分がどれだけチームを変えるか』を意識しながらやっています」

 バイエルンでの主戦場は4部リーグのバイエルンⅡだが、9月15日のレバークーゼン戦でベンチ入りを果たし、26日のDFBポカールのミュンスター戦で後半18分からジョシュア・キミッヒに代わって出場し、トップデビューを飾った。

「(トゥヘル)監督から事前に(出番があるといった)声をもらっていたわけではないですけど、練習に参加している中で、チャンスがあるなって感じていました」

 言うまでもなくバイエルンは、リロイ・ザネ、ハリー・ケイン、キミッヒ、セルジュ・ニャブリ、トーマス・ミュラーらスター軍団。世界のトップ・オブ・トップに揉まれながら、福井は彼我の差を冷静に分析している。

「フィジカルスピードの部分で大きな差があると思うし、試合に向けたコンディション作り、100%で試合に向かう部分を見ても、連戦が続く中で試合から逆算して、100%の力を試合にぶつけられているので、そういう部分は本当に参考になります。

(同じアンカーのキミッヒからは)すべて学んでいます。中でも特にメンタルの部分や細かい技術の部分は本当にトップレベルだと思うので、真似できればと思っています」

 その一方で、自身の強みである長短のパスやゲームコントロール、バランスを取るプレーに関しては「劣っているとは感じないです」と自信とプライドを滲ませた。

「もちろん、細部は本当に違いがあるので、そこは突き詰めていきたいですけど、自分の強みは存分に出していくべきだと思っています」

 バイエルンと同じように、U-22日本代表でもアンカーのポジションでの起用が濃厚だろうか。そのポジョションでは、藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)や田中聡(湘南ベルマーレ)、今回は不参加だが川﨑颯太(京都サンガF.C.)とポジションを争うことになる。

 来年4月にカタールで開催されるパリ五輪アジア最終予選に向けて
メンバーが固まりつつあるU-22日本代表に、福井太智が新風を吹き込む。

取材・文◎飯尾篤史