日本サッカー協会(JFA)は16日、理事会を開き、アンダーカテゴリーの代表監督を承認。来年度から始動するパリ五輪代表を目指すU-21代表の監督に大岩剛氏が選任されたほか、2023年のU-20W杯を目指すU-19代表の監督に冨樫剛一監督、同じく23年のU-17W杯を目指すU-16代表の監督に森山佳郎監督の就任が決まった。

上写真=パリ五輪を目指すU-21代表の監督に決まった大岩剛氏(写真◎J.LEAGUE)

J1での実績が当然ながら必要

 理事会後にオンラインによるブリーフィングに出席した反町康治技術委員長は、パリ五輪を目指すチームの監督に大岩氏を推挙した理由について以下のように語った。

「このカテゴリーは、ほとんどがJリーグで試合に出ている選手、または出始めている。要するにプロの選手の扱いになります。つまり大人のフットボールをやっています。J1での実績が当然ながら監督として必要になります」

 大岩氏は鹿島アントラーズを率いた3年で、2017年は2位、18年は3位、19年も3位と上位に入った。反町委員長は「17年は、優勝した川崎Fと勝ち点は同じでした。2018年は3位で2019年も3位。当然鹿島なので、常勝チームであるのは間違いないにしても、ACL圏内の成績を残しています。そのACLに関して言えば、2018年に優勝している。(五輪代表は)アジアの予選を戦うことになります。来年6月の大会(U-23アジアカップ)は、予選ではないですが、そういうアジアの戦い方を熟知していることも判断要素の一つでした」とこれまでの実績を評価している。

 また、大岩氏がJFAの指導者養成事業にも携わっていたこともあり、反町委員長とは日常的に顔を合わせる機会があり、その中で「非常に厳格で、立ち居振る舞いも凛としていますし、まさに監督だなと感じました」と指導者として申し分のない人柄であると話した。さらに「暫定でアンダー世代は色んな監督に任せましたが、(U-18代表の)その指導の評価も高かった」と今年5月に行なわれたU-18日本代表候補合宿などの指導ぶりについても言及。「責任のある仕事ですが、適任だと思います」と推挙の理由を挙げた。

 メダルを取れずに終わった東京五輪を経て、次のパリ五輪ではどんな目標を掲げ、日本としてどのようなサッカーを求めていくのか。また、大岩新監督が求めるサッカーと協会が求めるサッカーは合致するものなのか。反町委員長は『求めるサッカー』に関する質問に対して、次のように答えている。

「世界のサッカーを見据えたアップデートはせざるを得ない状況。そういう中でジャパンズウェイと言っていますが、(大岩監督は)そういうものを表すことができる人間だと思っています。五輪は日本のサッカー界の中では重要な位置を占めていると思います。東京五輪では残念ながらメダルに届かなかったですが、次のパリ五輪ではメダルに届くようにしてもらいたい。活動はA代表と重なってしまうので、今回は1チーム2カテゴリーはできないという前提のもとで進めました。ただし、能力の高い人間はサムライブルー(A代表)に行くべきだと思っているし、そのサムライブルーの登竜門としてこのカテゴリーは大事にしたい。(地域的に)日本はなかなか真剣勝負ができない中で、アジアでも勝ち抜くのが難しい状況ですが、五輪という世界大会で、やっぱりメダルを目指せる力が日本にはあると確信しています。なので、より具現化できるようにやっていただきたいと思っています」

 来年6月にはウズベキスタンでAFC U-23アジアカップが開催される予定だ。出場権のかかる大会ではないものの、パリ五輪世代にはとっては重要な強化の場。大岩監督の指導力が注目される。