U-24スペイン戦を翌日に控え、公式会見に登壇した森保一監督は、メダルのかかった大一番を前に、意気込みを語った。勝てば日本サッカー史上初の銀メダル以上が確定する。メキシコ五輪以来、53年ぶりに歴史を塗り替えることができるか。試合は今夜20時、埼玉スタジアムでキックオフされる。

上写真=準決勝でスペインと対戦する日本の指揮官、森保一監督(写真◎Getty Images)

ボールを握られても粘り強く、我慢強く

「明日(3日)のスペイン戦、五輪のメダルをかけた戦いに挑めることを非常にうれしく思っています。間違いなく難しい試合になると思いますが、選手たちにはこれまでやってきたことを自信を持って、メダルをかけた戦いに挑めることを誇りに思って、試合に臨んでほしい。これまでチームでやってきた通り、目の前の一戦に最善の準備をするということ、そして選手たちには自分たちが持っている力を、試合の中で思い切って発揮してほしいと思っています」

 森保監督は大一番に向けて選手に求めることはこれまで通り、持てる力を発揮することだと強調した。スペイン戦に勝利すれば、歴史を塗り替えることになる。試合のポイントについて指揮官は、「試合は相手のあることですが、流れの中で、状況判断をしながらベストを尽くしたい。(選手が)思い切って戦うということをしてきてくれたからこそ勝ち進んできたと思うので、目標にとらわれず、まず明日の試合に向けて自分たちのベストが発揮できるように。選手たちには思い切って実践してもらいたいと思います。結果は後付けで、それを考えてできる選手の集まりだと思うので、何度も繰り返しますが、選手たちには思い切ってプレーしてほしい」と、これまで積み上げてきた力をまっすぐにぶつけていくことにあるとした。

「スペインは本当に世界のトップトップの力があるチーム。スペインと対戦する相手は世界的に見てもなかなかポゼッション率でスペインよりも高いということはない。明日の試合も間違いなく難しい試合になると思いますが、まずわれわれも理想とするところをしっかり持ち、攻撃も守備もしっかりとやるとの考えを持って、選手たちには臨んでほしい。前回の(スペインとの)親善試合でわれわれのポゼッション率はかなり低い数字になったことは把握しています。もちろんポゼッション率はもっと高く、ボールを握りながら試合をしたいところはありますけど、大切なのは相手にボールを握られても、そこで粘り強く、我慢強く、相手のやりたいことを食い止めながら攻撃につなげていくというところ。前回の親善試合のときにも選手たちは守備から攻撃の意識をしっかり持っていました。われわれがボールを奪うことができたら、しっかりプレス回避をする、そして攻撃につなげていく。その意識があれば、相手との力関係の中でもポゼッション率をもっと上げることができる。それは明日の試合の中で、流れの中で自然と決まってくると思う」

 大会直前、7月17日に日本は準備試合としてスペインと対戦した。結果は1-1。相手は来日からまだ間がなく、コンディションが万全でなかったこともあるが、日本にとっては攻守両面で手ごたえをつかむ試合になった。

「ポゼッション率が低いことが悪いこと、イコールわれわれがボールを握る意思がないということにはならないと思います。そこは選手たちにもこれまでずっと要求していますし、日本が世界で勝っていくためには、もちろん我慢強く守備はしなければいけないですが、ボールを握る時間を長くして、より高い確率で相手のゴールに迫っていく、試合の結果も得られるようにというのは、過去のデータも見てもらいながら、これまでもトライしてきました。スペイン戦でも攻守ともに目標、理想という、この先のことをイメージしながらも、今の現実のところで戦ってもらえればなというふうに思う」

 ニュージーランド戦で戦況を見ながら理想と現実に折り合いをつけて戦った点に成長を感じたと話す指揮官は、スペイン戦でも同様にしっかり戦っていきたいと話した。ボールを握られても、勝利は握らせない。持てる力を発揮し、臨機応変な戦いで歴史を塗り替える。