U-24日本代表(東京五輪代表)は17日、優勝候補に挙げられるU-24スペイン代表と対戦。旗手怜央は左サイドバックとして先発し、フル出場を果たした。試合後のオンライン会見では課題と収穫をともに語ったが、強豪相手にその持ち味をしっかり示してみせた。

上写真=左サイドバックで先発し、終盤は左サイドハーフとしてもプレーした旗手怜央(写真◎JMPA毛受亮介)

■2021年7月17日 国際親善試合(@ノエビアS/観衆4,909人)
U-24日本 1-1 U-24スペイン
得点者:(日)堂安律
    (ス)カルロス・ソレール

攻撃の部分を求められていると思う

「やっぱりオーラというか、トップレベルでやっているだけあって、ボールを動かすときにすごい怖さもありましたし、結果は引き分けましたけど、やられることもすごく多くて、課題も出た試合で、本当にすごく難しい試合でした」

 左サイドバックとして先発した旗手の試合後の第一声だ。優勝候補スペインとの対戦を率直に振り返った。

「後半の失点する時間帯というか、押し込まれている時間帯のときに本当にチームがどうまとまってどう戦うかをピッチ上で選手たちが話すべき場面がたくさんありましたし、そこができないと勝ち点3が勝ち点1になったり、というのがあるので、そこのところはチームでしっかり全員で意見を出して話し合えばよかったなとすごく思います」

 チームは前半終了間際に堂安律のゴールでリードしたが、後半に失点。そのまま1-1で引き分けたことについて、旗手は反省した。本番を想定すれば、勝ち点2ポイントを失うことになる。後半から選手が大幅に入れ替わったこともあるとはいえ、ピッチ内の状況を瞬時に把握し、チームで対処できなかったと悔やんだ。

 それでも対面するアセンシオにはきっちり対応。世界で戦うアタッカーに『やらせなかった』。「1対1で勝負するという場面はなかったんですけど、僕自身はやっぱり1対1で勝負させられるとスピードだったり体格だったりで劣る部分はあるので、まずボールを自由に持たせないとか、ボールを持つ前にプレスをかけるというのを心がけてトライしました」と手応えを語る。実際、周囲と連動しながらうまく抑えた。その上で攻撃面でも旗手ならではのプレーを披露している。縦パスや斜めに入れるクサビのパス、縦関係を組む左サイドハーフの相馬勇紀を追い越す動きで、本来はアタッカーである自分の特長を出していった。
「攻撃の部分をやっぱり求められていると思うので、僕自身、本当に自分がいま持っている力を精いっぱい出せたと思います。サイドバックという位置だったので、サイドハーフだったりボランチ、トップ下のところまでしっかり見て、そこを動かすことを意識していました。そこのところがけっこう出ていたのでよかったと思います」

 意図のあるパスを出せるのが、旗手の持ち味でもある。自身は左サイドバックで先発し、相馬が中山雄太と交代した80分以降は左サイドハーフに入りプレー。チーム事情に応じて複数のポジションができる万能性も示した。課題はもちろんあったが、収穫も間違いなく多い試合になった。

 大会5日前のこの試合に先発フル出場を果たした事実を考えると、初戦の南アフリカ戦は出場するとしても途中からになりそうだが、優勝候補相手に自分の持ち味を確認し、発揮したことで、旗手は良いイメージで大会に臨めるのではないか。

「サイドバックを最初やった当初よりは中に絞るだったり、ゴールカバーをするという意識は芽生えてきていますけど、まだまだ本当にサイドバックとしてやるべきことはたくさんあると思うので、今日の試合に満足せずにもっともっとできるようにやっていきたいと思います」

 2017年12月、このチームが立ち上げから旗手は参加し、通算の出場数もこのスペイン戦で上田綺世の30試合に次いで多い25試合になった。当時は大学生だったが、あれから3年半でプロになり、Jリーグ王者となるなど多くのタイトルを獲得。多くの経験を重ね、プレーの幅も広げて、アタッカーだけではなく、サイドバックもできる万能選手に成長した。

 もちろん五輪は一つの通過点だが、どう通過するかが、その後のキャリアを大きく左右する大会だ。つまりは、重要な舞台。チームを支えるキーパーソンの一人として、旗手は自身が持つすべてを注ぐ。