自身3回目の五輪に臨むU-24日本代表のキャプテン、吉田麻也が、明日17日のU-24スペイン代表戦を前にオンラインで取材に応じた。優勝候補に挙げられる強豪国との試合に向けてチームとして確認作業をするとともに、日本のベースとすべきものについても改めて強調した。

上写真=オンライン取材を受ける吉田麻也(写真◎スクリーンショット)

泥臭く戦わなければいけないんだということ

「ここまで雰囲気は非常にいいですし、練習の内容と質というところも高まってきているんじゃないかなと思います。いよいよだなという気持ちもありますし、最後の最後までしっかり良い準備をしたいなという気持ちでもいます」

 3度目の五輪に臨む日本のキャプテンは、大会までの準備に関してこれまでにない手応えを感じていた。

「大会に向かう心構えだったり、入り方の準備の部分で言うと、非常にここまでうまくやってきていると思っています。過去の、それこそW杯も含めてこういう短期決戦、アジアカップもそうですけど、それを見てもホームだからというのもあるとは思いますが、いい準備ができている。精神的にも悪くないんじゃないかなと、いいリラックスと緊張感のバランスが取れているんじゃないかなと思います」

 その理由として挙げたのはA代表を経験している選手が多いこと。そして海外でプレーしている選手が増えたこと。吉田は「早熟」という表現で、五輪世代の選手たちの頼もしさついても語った。

 ただその一方で、忘れてはならないことがあるとも強調している。明日17日に臨む本大会前最後の試合、スペイン戦で守備面で個人にどんなプレーが求められるかを聞かれたときのこと。「一番は相手の得意な形に持っていかせないこと。それが大事」と守り方のポイントを説明したあとで、チームにとって不可欠なポイントを指摘した。

「一つやっぱり理解しておかなければいけないのは、まだまだ日本がトップトップと互角に戦うには、泥臭く戦わなければいけないんだということ。自分たちはうまくないんだということを理解しないといけない。みんながハードワークしないといけないし、一人がさぼるとそこにほつれが出てしまうと思う」

 選手個々の経験値や技術が上がっているのは確かでも、慢心することが一番怖い。日本代表の歴史の中では自らの立ち位置を見誤り、力を発揮しきれずに終わった経験がある。そうした歴史を踏まえての発言でもあるかもしれない。森保一監督は折に触れて代表は点ではなく、線でとらえるものとの考え方を示すが、吉田キャプテンも過去の経験をしっかり踏まえているのだろう。長くA代表でも、そして今回3度目の五輪代表でプレーする吉田だからこそ鳴らせる警鐘とも言える。

「そういう抜けのない試合をしなければいけない、ハードワークしないといけないということをこの試合(=スペイン戦)で理解するんじゃないかと個人的には思っています。もちろん、個のところでどれくらいできるか、先ほども言いましたけど、自分の立ち位置がいまどこにあるのか、どれくらいの差があるのかを理解するにもいい相手だと思うので、大会前にこういう相手とやれるというのは非常に貴重じゃないかなと思います」

 スペインはこの世代のヨーロッパ王者であり(2019年U-21ヨーロッパ選手権優勝)、今大会も優勝候補の一角に数えられるチームだ。当然ながら厳しい戦いも予想されるが、「引き続き良いゲームの入りをすることと、試合を支配すること。支配する中でも流れを相手に渡さないことだったり、ゲームのテンポを考えることだったり、あとは決め切れるところで決めて試合を決める。そこの3つが一番大事かなと思います」と勝つためのカギにも言及した。「(スペイン戦は)押し込まれる時間帯もあると思いますし、苦しい時間帯の乗り切り方、ゲームの割り切り方が大事なってくると思う。6月のシリーズではそういうシチュエーションにならなかったので、今回、もしそういうシチュエーションになれば、そこで我慢することだったり、どういう選択をするかということを、もう1回再確認しないといけない」とこれまでのテストマッチとは異なる試合になる可能性に触れ、その上で「強いチームに対してどうやって戦うかをというのもう一度、再確認しないといけない。そこの見極め、戦い方をチェックしたいと思っています」とゲームの狙いを語った。

 スペイン戦は自分たちの力をはかるとともに、チームにとってポジティブな要素をいくつ手にできるかも重要なポイントになるだろう。つまりは本大会に最良のステップできるかどうか、注目される。