東京五輪代表(U-24日本代表)の酒井宏樹がオンラインで取材に応じた。練習ではさすがの力を示し、五輪世代の選手たちにも要所で声を掛けていた。オーバーエイジとして、五輪経験者として、自身のすべてをチームに注いでいる。

上写真=フランスの選手たちの特徴についてオンライン取材で語った酒井宏樹(写真◎山口高明)

結果を出したチームだけが評価される

 日本は五輪本大会でグループステージ3戦目にフランスと対戦する。発表となったフランスのメンバーについて聞かれ、酒井は答えた。

「知っている選手も多くいますし、リーグで普通に出ている選手も多くいるので、もちろんベスト(メンバー)ではなかったと思いますけど、先発のスタートの11人というところでは、能力のある選手たちがそろったんじゃないかなと思います」

 そして、その特徴を聞かれると、こんな印象を語った。

「精神的な部分では少し弱いところがありますが、日本にとっては今回みたいなケースが一番危ないと思います。今回のEUROのように優勝候補、優勝候補と言われているときより、あまりメンバーがそろっていないと言われているときの方が集中力も高く来るんじゃないかなと思いますね。しっかりとした戦術だったり、メンタリティーを持っているときの彼らというのは、計り知れない能力を発揮する。そこには注意が必要かなと思います」

 2016年からこの夏まで、5シーズンにわたってフランスのマルセイユでプレーしていた酒井の言葉だけに説得力がある。過度に注目されることなく、プレッシャーなく伸び伸びとプレーするフランスは、怖い。日本にとっては3戦目の相手。グループステージ突破のかかる試合となる可能性も高い。

 ロンドン五輪を戦い、二度のワールドカップを経験している百戦錬磨の酒井だからこそ、勝負の怖さも知る。現在の日本がこれまでよりも経験がある選手がいることを踏まえつつも、気を引き締めることも忘れない。

「(現在の日本は)すごくポテンシャルの高い選手たちがそろっていますし、海外でやっている選手も多くいる。A代表でやっている人もいるし、国内の選手たちも試合に出ている人がほとんどだと思うので、これほど試合慣れしているメンバーが多いのは珍しいと思います。ただやっぱり勝負の世界なので、もちろん予選リーグで全敗する可能性もありますし、予選リーグで全勝する可能性もあります。結果を出したチームだけが評価されると思うので、前評判とかは関係なく、しっかりやっていきたい」

 酒井が発する言葉の一つひとつが、オーバーエイジの選手がチームにいる意味を示している。プレーはもちろん、練習中のアドバイスや大会に向けた心構えの面でも、やはり酒井や吉田麻也、遠藤航の存在は大きい。

「初戦が近づいてくるにつれてどんどんプレッシャーも高まってくると思う。少しずつそれを解放してあげられるようにしていきたいですし、過度な緊張はやっぱり邪魔になってくるので、いい緊張感で臨めるチームとしてやっていきたいと思います」

 大会に臨む最後の調整を行なう中で、どう集中し、準備していくべきか。世界大会を何度も経験している酒井だからこそ口にできる言葉だろう。初戦の南アフリカ戦まであと12日。チームが100パーセントを出せるように、酒井は力を尽くす。