上写真=合宿初日から熱のこもった練習を続けている三好康児(写真◎山口高明)
一緒に戦ってきたメンバーの気持ちを背負っている
東京五輪に臨むチームは、2列目のタレントが豊富だ。日本の大きな武器と言ってもいいだろう。4-2-3-1のトップ下、右サイドハーフ、左サイドハーフがいわゆる2列目に当たる。その2列目で、いずれのポジションでもプレー可能なのが三好だ。これまでは右やトップ下を務めることが多かったものの、今合宿の序盤は左サイドを主戦場とする三笘薫や相馬勇紀がACL参加で不在だったこともあり、左に入るケースがあった。そこで三好はまったく違和感なくプレー。堂安律や久保建英と頻繁にポジションを入れ替えながら守備側に的を絞らせない動きで攻撃をクリエイトしてみせた。
「タケ(久保)と律に関しては6月の活動からポジションを変えながらプレーする場面が多くあった。2人は右に出たり、真ん中に出たりできる選手。自分が入ったときは、そんな2人を見ながら自分がポジションを取る。そういうプレーは得意なので。そこで合わせながらお互いのいい部分を引き出すためにポジションを取り続けられればと思っています」
スペースを生み出し、活用する術を心得ているのは、傍から見ていても分かる。ともにピッチに立つ選手と調和し、その力を最大限に引き出し、自らも生きる。まさに攻撃を活性化させる触媒の役割を担えるのが三好という選手だろう。日本の生命線とも言えるコンビネーションの質を高められる存在と言える。
「個人で打開する部分や人数をかけてプレーするときに、どこに人数をかけるかだったり、スペースをもっと有効活用するために入りすぎないようにすることだったり、そこは相手を見ながら判断することが必要だと思います。自分たちだけでサッカーができるわけではないし、相手あってのものなので。相手がどう出てくるかを判断しながら、自分がどこにポジションを取るのが有効かを常に判断しながらやれればと思います」
長くこのチームでプレーしているだけに、五輪で結果を出すことへの思いは当然ながら強い。「一緒に戦ってきたメンバーの気持ちを背負っているところもあるし、それぞれが責任感を持って参加している。個々人の自立というか、気持ちの部分は成長しているのかなと思う」とチームの進歩を実感しつつ、メンバーに選ばれなかった選手たちも思いも背負って大会に臨みたいと話した。
「メンバーに入りましたけど、この中から試合にスタートから出る選手もいれば、途中から出る選手もいる。金メダルを取るまでに6試合あることを考えれば、総力戦になると思う。本当に全員が自分の仕事にフォーカスして、自分の役割を理解して、そこに自分の力を全部注げるように準備していければと思います」
勝つために、金メダルをつかむために、三好康児は自らができることすべてをやり切るつもりでいる。