東京五輪に臨むU-24日本代表に選出されたサンフレッチェ広島GK大迫敬介が、本番への思いを語った。選出されるかどうか、不安を感じながらのメンバー入りに安堵し、金メダル獲得への強い思いも口にしている。

上写真=祝福の花束を手に笑顔を見せる大迫(写真◎石倉利英)

「すごくホッとしています」

 1999年7月28日生まれ、鹿児島県出身の大迫は、地元のフェリシドFCからサンフレッチェ広島ユースに加入。高校3年時の2017年にプロ契約を締結し、18年にトップチームに昇格した。2年目の19年にプロデビューを果たし、昨季は林卓人に定位置を譲った時期もあったが、今季は再びポジションを奪い返し、開幕からJ1全20試合にフル出場している。

 東京五輪を目指すチームには、2017年12月の立ち上げ当初からメンバーに名を連ねてきた。6月上旬からのメンバー選考前最後の活動では、谷晃生(湘南ベルマーレ)、鈴木彩艶(浦和レッズ)らとポジションを争い、谷とともにメンバー入り。広島からの五輪代表選出は、1996年アトランタ大会のGK下田崇、DF上村健一、DF路木龍次、2004年アテネ大会のDF駒野友一、MF森﨑浩司、2012年ロンドン大会のDFファン・ソッコ、2016年リオデジャネイロ大会のDF塩谷司(オーバーエイジ枠)、FW浅野拓磨に続いて9人目となった。

 広島市内のホテルで行なわれた記者会見で、大迫は「まずはオリンピックのメンバーに入れたことをうれしく思っていますし、すごくホッとしています」とコメント。続けて「ただ大事なのは、選ばれることではなく、本大会でしっかり結果を出すことだと思っている。ゴールキーパーは2人という厳しい枠で、試合に出られるのも1人ですが、チームが一つになって、金メダルを取れるように頑張りたい」と力強く語った。

 発表前はかなりの緊張感があり、「昨日の夜くらいから少しずつ意識し出して、なかなか寝ることができなかった」という。「今日の午前中も時計と見つめ合っている時間が長くて、時間が全然進まない感覚だった」と振り返り、「発表を受けて、メンバーに入って、すごくうれしく思っています」と笑顔を浮かべた。

 緊張感の源は、最終段階でのポジション争いの激化にあった。6月3日のA代表戦で先発出場し、45分間プレーしたが2失点。五輪本番を想定した5日のU-24ガーナ代表戦は谷がフル出場し、大迫はメンバー外だった。メンバー発表前最後の試合となった12日のジャマイカ代表戦も谷が先発し、大迫は鈴木とともに控えに入っていたが、後半開始から出場機会を得たのは鈴木。「最後の合宿で思うようなプレーができなかった。選ばれる自信は、もちろんないことはなかったですが、不安もありました」と正直な思いを打ち明けた。

 本番のチームメイトとなった谷については「アンダー世代から、ずっと一緒にやってきた選手の一人。湘南ベルマーレで好パフォーマンスを発揮している。お互い切磋琢磨しながら、一つのチームとして良い結果を出したい」とコメント。目標を聞かせると、あらためて「金メダルです」ときっぱり答え、「最後の合宿で初めてオーバーエイジや海外組も含めてやりましたが、初めてとは思えないほど連係も取れていた。これからもっと練習すれば、もっと良くなると考えれば、金メダルを取る自信があります」と強い決意を口にした。

取材・写真◎石倉利英