東京オリンピックの男子サッカー競技に臨むメンバー22人を紹介する。6月の代表活動から参加したオーバーエイジの3人、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航に加え、堂安律や久保建英、上田綺世ら世代をけん引してきた選手が選ばれた。また、今季の活躍で実力を証明した田中碧や谷晃生らも名を連ねている。また、メンバー発表当初はバックアップメンバーだった4人の選手たちも、大会のレギュレーション変更で試合ごとにメンバーの入れ替えが可能となったため、試合出場の可能性がある『22人のメンバー』の一員となっている。なお、大会に向けてJOCが公開した各選手のコメントを追記している(7月23日/掲載選手のみ)。

MF 6 遠藤 航
『ゲームを制すデュエル王』

中盤中央で攻守に働き、チームに安定感と好機をもたらすボランチ遠藤航

ブンデスリーガのデュエル王がオーバーエイジとして2度目の五輪に挑む。前回のリオ大会ではキャプテンを務めたが、決勝トーナメントに進出できなかった。悔しさを糧に、この5年間で大きく成長。A代表で主軸を担う存在になった。6月シリーズではボール奪取能力の高さとポジショニングのうまさを示し、チームをリード。ボランチコンビを組んだ田中碧も驚く圧倒的な存在感を見せつけた。

◆Profile
遠藤 航(ENDO Wataru)
※オーバーエイジで選出
・ポジション:MF
・背番号:6
・生年月日:1993年2月9日
・所属:シュツットガルト(ドイツ)
・身長/体重:178㎝/76kg

MF 16 相馬勇紀
『サイドのマルチローラー』

サイドで多彩なプレーを見せてきた相馬勇紀

局面を打開するドリブラーであるだけではなく、この1年で守備力を向上させ、マルチなサイドアタッカーとして成長を遂げている。このチームへの初参加は19年のトゥーロン国際大会だが、以後はコンスタントに招集され、直帰の6月シリーズではこれまでの左サイドハーフだけではなく、右サイドでもプレー。さらに3バック採用時には左のウイングバックでもプレーするなど、ユーティリティー性をアピール。本大会行きの切符をつかんだ。

◎コメント「東京オリンピック代表で日の丸を背負って闘えることに心から幸せを感じています。2013年9月、自分が出場できるオリンピックの開催地が、生まれ育った東京に決まった時は胸が高まりました。そして、『最後のメンバー発表で絶対に自分が選ばれるんだ』と決意しました。その後、三菱養和、早稲田大学、名古屋グランパス、鹿島アントラーズでプレーをしてきました。けがをしたり、他のオリンピック世代の選手の活躍を見て、心が折れそうな時もありましたが、素晴らしいスタッフ、チームメイト、家族、友達、仲間に支えられ、ここまで努力し続けることができました。日本の代表としての誇りを持ち、気持ちを前面に出して闘います」

◆Profile
相馬勇紀(SOMA Yuki)
・ポジション:MF
・背番号:16
・生年月日:1997年2月25日
・所属:名古屋グランパス
・身長/体重:166㎝/69kg

MF 8 三好康児
『信頼と実績の共鳴アタッカー』

勝負所で結果を残してきた三好康児。本大会でも決定的なプレーが求められる

長くこのチームでナンバー10を背負ってきたアタッカー。2列目の右やトップ下を主戦場としつつ、チャンスを生み出す出す役割を担う。五輪世代主体で臨んだ19年のコパ・アメリカのウルグアイ戦で2得点を挙げるなど、主要大会で結果を出してきた。3月シリーズは振るわず、6月シリーズも出場機会は限られたが、積み重ねてきた実績は色あせない。アントワープでも終盤に出場機会を得て、復調。堂安や久保らと共鳴する感性も大きな魅力だ。

◎コメント「金メダルを獲るまでに6試合あると考えれば、スタートで出る選手も途中から出る選手も含めて総力戦になるので、全員が役割を理解して、力を全部注げるように準備していきたいです。夏場の連戦のなかで、どれだけチームが一つのまとまりとなって戦えるか、自分が何をチームにもたらすことができるのかをいかに理解して戦えるかだと思っています。年齢を重ねるにつれて競争は激しくなってきましたし、一緒に戦ってきたメンバーの気持ちも背負っています。責任感を持ってこの活動に参加しています」

◆Profile
三好康児(MIYOSHI Koji)
・ポジション:MF
・背番号:8
・生年月日:1997年3月26日
・所属:ロイヤル・アントワープFC(ベルギー)
・身長/体重:167㎝/64kg

MF 11 三笘 薫
『世界へ挑むJの象徴』

先発でも途中からでも局面を打開できるドリブラー、三笘薫

昨季のJリーグで圧倒的なプレーを示し、リーグを象徴する存在となったドリブラーは、筑波大時代からこのチームに選出されてきた。だが、今年3月と6月の活動では、Jリーグで見せているような決定的なプレーは見せられなかった。それでも独力で局面を打開する力とシュート技術の高さに疑いの余地はない。4-2-3-1や4-3-3を採用するケースでその力は生きるはずだ。途中出場で流れを変える切り札にもなれる。世界が「MITOMA」を知ることになるかもしれない。

◎コメント「東京オリンピック代表に選ばれすごく身が引き締まる思いですし、昔からの目標、夢でもあったので嬉しく思っています。落選した選手もいますし、18人という狭いなかで選ばれた身として、そういう選手達の分まで頑張らないといけないですし、日本代表がメダルを獲得できるよう、貢献できるよう頑張りたいと思います」

◆Profile
三笘 薫(MITOMA Kaoru)
・ポジション:MF
・背番号:11
・生年月日:1997年5月20日
・所属:川崎フロンターレ
・身長/体重:178㎝/71kg

MF 10 堂安 律
『東京五輪世代のエース』

チームを引っ張る攻撃の中心選手、堂安律。本番での爆発が期待される!

順調にキャリアを重ねる世代のエース。A代表でも中心選手の一人であり、U-24代表では4-2-3-1の右サイドハーフとして違いを生み出す存在だ。相手のブロックの中でボールを受けて、久保建英ら周囲の選手とのコンビネーションでチャンスを創造するその能力は日本の生命線。6月シリーズからはナンバー10を背負い、本大会でも活躍が期待される。この1年で磨いてきた「個人で打開する能力」を本番のピッチで見せる。

◆Profile
堂安 律(DOAN Ritsu)
・ポジション:MF
・背番号:10
・生年月日:1998年6月16日
・所属:PSVアイントホーフェン(オランダ)
・身長/体重:172㎝/70kg

MF 17 田中 碧
『攻撃を司るシンデレラボーイ』

3月と6月の活動で力を証明したボランチ、田中碧。攻守の要だ

ある意味、シンデレラボーイと言えるだろう。本人も認める通り、少し前までは「五輪は別世界の話」だった。しかし、昨季は川崎Fでリーグ優勝に貢献し、Jリーグベスト11にも選出。リーグを代表する存在に成長して臨んだ3月のU-24アルゼンチン代表戦で圧倒的なパフォーマンスを披露し、6月シリーズでも攻守の中心として遠藤航とともにゲームをコントロール。パス能力とスペース活用術は圧巻。実力を証明して、五輪代表となった。

◆Profile
田中 碧(TANAKA Ao)
・ポジション:MF
・背番号:17
・生年月日:1998年9月10日
・所属:川崎フロンターレ
・身長/体重:180㎝/74kg

MF 7 久保建英
『違いを生む世界のKUBO』

優れたスキルとプレービジョンで違いを生み出す日本屈指のタレント、それが久保建英だ

世界で戦ってきた経験は、伊達ではない。6月シリーズで見せた輝きは、やはりU-24代表に欠かせないものだ。トップ下で周囲の能力を引き出しつつ、自らも積極的に仕掛けて、ゴールを狙うプレーを披露。改めてその力をピッチで見せつけた。とりわけ堂安律との相性は良く、巧みにポジションを入れ替えながら攻撃を創造。時に潤滑油となり、決定的な存在ともなる。この夏、ピッチで勇躍する久保建英が見られるに違いない。

◎コメント「小さいころからサッカーをやってきて、こうして日本を代表してオリンピックに出られることは光栄です。出るからには勝つつもりでいくのはどの大会も変わらないですし、ここで勝ったから世界との差が縮まるものではないですが、勝つことでチーム、個人の成長、日本サッカーの世界へのアピールにもつながるので、いい意味で世界を驚かせる大会にしたいです」

◆Profile
久保建英(KUBO Takefusa)
・ポジション:MF
・背番号:7
・生年月日:2001年6月4日
・所属:レアル・マドリード(スペイン)
・身長/体重:173㎝/67kg

FW 9 前田大然
『奪取と速攻の急先鋒』

前線で攻守のスイッチを入れられる前田大然。そのスピードでチームをけん引する

類まれなるスピードを武器に相手の脅威となるFWだ。守備の局面では猛然と相手にプレッシャーをかけ、攻撃の局面ではカウンターの急先鋒になり得る。6月シリーズではゴールという点では結果を出せなかったが、横内昭展監督(同シリーズ)は守備の局面でスイッチを入れられる存在であると、評価していた。本大会でも相手に襲いかかり、ボールを狩って、ゴールを生み出すプレーが求められる。

◎「オリンピック世代の選手たちの想いを背負って、選ばれたメンバーが全力で戦わなくてはいけないです。どこのチームも身体能力が高いと思いますが、自分がそこで負けてはいけないので、しっかり勝負したいです」

◆Profile
前田大然(MAEDA Daizen)
・ポジション:FW
・背番号:9
・生年月日:1997年10月20日
・所属:横浜F・マリノス
・身長/体重:173㎝/67kg

FW 18 上田綺世
『U-24代表のゴールマスター』

立ち上げ以来、このチームで最もゴールを挙げているのが上田綺世だ

チームの立ち上げから参加し、29試合17得点と、この世代で最も試合に出場し、最もゴールを挙げてきたストライカーだ。今年3月の活動はケガもあり、招集されなかったが、6月シリーズでは親善試合2試合で2ゴールを挙げ、改めて実力を示した。抜け出しのうまさとシュート技術は他の追随を許さない。自身のキャリアにおける目標の一つに定めてきた東京五輪という舞台で、何度、ネットを揺らすことになるのか。

◎コメント「メンバーに選んでいただき、自国開催で東京2020オリンピックを戦うことができる責任と期待、これまでの活動期間を通じて一緒に戦った仲間たちの思いを、改めて感じています。自分にできることは、クラブで培ってきた力を 100%発揮し、勝利のために全力で戦うことです。ピッチ上で自分の求められていること、勝つために表現したいことを常に考えてプレーし、チームに貢献したいと思います」

◆Profile
上田綺世(UEDA Ayase)
・ポジション:FW
・背番号:18
・生年月日:1998年8月28日
・所属:鹿島アントラーズ
・身長/体重:182㎝/76kg

GK 22 鈴木彩艶
『パリ五輪世代の守護神』

浦和で定位置をつかんだパリ世代のGK鈴木彩艶

年齢的にはパリ五輪世代だが、所属する浦和レッズで定位置をつかみ、6月シリーズに招集された。ジャマイカ戦の後半でプレー機会を得たが、守備機会そのものが少なく、鋭いシュートストップや守備範囲の広さを見せることはできなかった。しかし、合宿でコーチ陣にポテンシャルの高さとGKとしての能力を証明。早くから将来を嘱望され、日本代表の未来を担うと言われてきた存在は、U-24代表としてはわずか一度の活動ながらメンバー入りを果たした。

◎コメント「ゴールキーパーは『最後にチームをどれだけ助けられるか』だと川口能活コーチからも言われています。自分自身の力を発揮して、チームにいい影響を与えられるようにしたいなと思います。まずはチームのために全力を尽くすことが一番です。得られたチャンスを自分が生かせれば、自ずと上に行けると思うので、意識してやっていきたいです」

◆Profile
鈴木彩艶(SUZUKI Zion)
・ポジション:GK
・背番号:22
・生年月日:2002年8月21日
・所属:浦和レッズ
・身長/体重:190㎝/91kg

DF 20 町田浩樹
『強く稀少な左利きCB』

日本でも、いや世界でも稀少な190㎝超えの左利きCB町田浩樹

190センチのサイズを誇り、CBの中で最も身長が高く、しかも左利き。鹿島でコンスタントにプレーする中で着実な成長を遂げ、今年のU-24代表の活動で自信をもってプレーしてバックアップメンバーとして支えることになった。フィードのタイミングと精度はアタック陣とさらに連係を深める必要があるものの、エアバトルの強さとアグレッシブなアプローチは魅力だ。6月の活動では吉田麻也とのコンビも経験した。

◎コメント「自国開催のオリンピックは、一生に一度出られるか出られないかという大会。U-24日本代表は攻撃陣にタレントが揃っていて、得点を取ってくれる選手がたくさんいます。過密日程のなかで、どれだけ安定した戦いができるかが、ディフェンスとしてもチームとしても大事です。自分の本職とは違うポジションでも、どこであれ、自分の最善を尽くそうという気持ちで常にいます。しっかり準備して、一丸となって戦います」

◆Profile
町田浩樹(MACHIDA Koki)
・ポジション:DF
・背番号:20
・生年月日:1997年8月25日
・所属:鹿島アントラーズ
・身長/体重:190㎝/80kg

DF 21 瀬古歩夢
『正確無比のロングフィードを備える男』

6月シリーズで

3月の活動ではU-24アルゼンチン代表に勝利した試合で林大地のゴールを導くロングパスを送るなど、持ち味を発揮したCB。だが、6月の活動では当初は招集なし。しかし、ケガ人が出たことで活動終盤に追加招集され、「一度はあきらめていた」五輪へのアピール機会を得た。『一発勝負』となったジャマイカ戦の後半に出場。相手の強度の問題もあり、アピール場面に乏しかったが、堅実なプレーとそれまでの実績でメンバーに選ばれた。

◆Profile
瀬古 歩夢(SEKO Ayumu)
・ポジション:DF
・背番号:21
・生年月日:2000年6月7日
・所属:セレッソ大阪
・身長/体重:185㎝/72kg

FW 19 林 大地
『背負って戦えるFW』

3月のアルゼンチン戦のゴールで存在をアピールした林大地(写真◎Getty Images)

鳥栖での活躍が認められて3月シリーズで初選出されると、U-24アルゼンチン代表相手にゴールを決めるなど、実力を披露。前線からのプレスもタフにこなし、上田綺世とも前田大然とも異なるFWとして存在をアピールした。しかし6月シリーズでは出番が限られ、ゴールもなし。当落線上にいるかと思われたが、試合開始から球際バトルに挑み、相手に食らいついてボールを奪い切ることのできるFWはやはり貴重だ。

◆Profile
林 大地(HAYASHI Daichi)
・ポジション:FW
・背番号:19
・生年月日:1997年5月23日
・所属:サガン鳥栖
・身長/体重:178㎝/74kg