5月31日に始まったU-24日本代表の活動において、堂安律はその力を十二分に証明したと言える。6月5日のU-24ガーナ戦に続き、12日のジャマイカ戦でもゴールを記録。中心選手としてチームをけん引し、攻撃で違いを生み出した。

上写真=攻撃の中心としての役割を果たした日本の10番、堂安律(写真◎JMPA毛受亮介)

■2021年6月12日 国際親善試合(@豊田S/観衆4,029人)
U-24日本 4-0 ジャマイカ
得点:(日)久保建英、遠藤航、上田綺世、堂安律

選手にとってゴールは一番自信になる

 今回の活動で背番号10を背負った堂安は、中心選手としての役割を十分に果たした。4-2-3-1の2列目右サイドを務めながら、状況に応じてトップ下の久保建英と時にポジションを入れ替え、攻撃に彩を加えた。相手の最終ラインとボランチの狭いエリアで苦も無くボールを収めて攻撃を展開していく技術とセンスは、今の日本に欠かせないものだろう。

 5日のU-24ガーナ戦ではチームを乗せる先制ゴールを挙げ、4点目となる相馬勇紀の得点もアシスト。目に見える形で結果を残していたが、今回の活動の締めくくりとなった12日のジャマイカ戦でもゴールを記録。ガーナ戦とは逆に、ボックス左までボールを運んだ相馬のクロスをゴール正面で受けて、冷静にネットを揺らした。

「相馬くんからすごく良いボールが来て、ごっつぁんゴールと言えばごっつぁんですけど、ただ、選手にとってゴールというのは一番自信になるので、どんな形であれ、シーズン最後の試合なので(取れてよかった)。休む前に点を取れて終われた。ブンデスから3試合連続でゴールを取れて、というのは、フィーリング的に良い形でバケーションに入れると思う」

 U-24日本代表はジャマイカ戦で活動を終えて、いったん解散。束の間のオフを挟んで、7月上旬に再び集まり、本大会に向けて準備を進めることになる。ドイツでタフなシーズンを戦い、すぐに今回のU-24日本代表の合宿が始まった。疲労がないと言ったらうそになるだろう。しかしながら堂安にとって、約2週間の今回の活動は多くの情報を収集し、チームの現状を把握する上で重要な機会となった。

「(遠藤)航くんとはA代表含めて長い時間やってきて、どこにいてほしいかというのは、多く喋らずとも理解しているけど、(田中)碧とは今回が初めてだったので。碧の特長を少しずつ理解しながら、彼は足下に、ちょっと詰まっていても縦パスをポンと入れられるタイミングを持っている。それは相手にとって分かりづらいけどく、チームメイトが分からないといけないシーンもあった。さらにコミュニケーションを取る必要があると思う」

「(三笘)薫くんとか相馬くんもそうだけど、彼らの特長は消してはいけないと思いながらプレーしていた。彼らは1対1で(相手を)はがせると思うので、真ん中で構築するところは建英とか俺とか碧とか、航くんでうまくやりながら、彼らには最後のシーンで顔出してほしいと話していた」

 堂安は、チームに大きな可能性を感じていた。各選手の個性を引き出し、自らの個性も生かす。そのバランスの取り方についても整理することができたようだ。

「自分たちが、うまく縦パスを入れられない時間帯は今日もあった。その中で初心に戻るじゃないけど、個人で打開することが、すごく大事だと思う。相手に固められたシーンでは、サイドの1対1で決め切ることだったり、はがして一発決められる選手がいるというのは大きい。個々の能力で打開することが大事かなと思う」

 連係・連動して相手を攻略するセンスとスキルを備え、突破力のある仲間の力を引き出し、時に応じて自ら仕掛ける姿勢も備える。堂安は、五輪メンバーの最終選考の場だった今回の活動において、攻撃の中心として、十二分に力を証明した。本大会でも10番を背負うことは、まず間違いないだろう。