上写真＝田川亨介は速さと激しさがストロング。ジャマイカ戦でそれを表現するつもりだ（写真◎JMPA兼村竜介）
「正直、何がどうなるかわからない」
田川亨介が「だいぶ大きな刺激を受けました」と意識したのは、同じFWの上田綺世のゴールだった。6月5日、U-24ガーナ代表戦に先発した上田が56分、中山雄太の左からのクロスにヘッドで合わせて決めたチーム5点目だ。
「自分もやっぱり負けてられないという気持ちがより一層強くなりました」
田川はこの試合でベンチ外だったから、なおさらだった。
田川が今回のシリーズで最も脚光を浴びたのは、6月3日の日本代表とのテストマッチだろう。20分に右サイドを抜け出して独走、GKシュミット・ダニエルと1対1の勝負を迎えるが、フィニッシュを右に外してしまう。
「迷いなく自分が取るという気持ちを前面に出せたのは良かったと思う」と抜け出したことはよかったが、決めておきたい場面だった。
「そこも自分の中では結構、大事なチャンスだったなと。決めていれば変わることもあっただろうし、というのは感じてはいます」
オリンピックの登録は18人。上田のほか前田大然、林大地と争う形だが、練習ではサイドハーフにも入った。「チームでは右のサイドでやっているので、慣れはあります。どうチームに合わせていくか。自分の幅も広がるし、そこはポジティブにとらえていきたいです」と、前向きだ。登録が18人なら複数ポジションでプレーできることは有利になる。
いずれにしても、6月12日のジャマイカとのテストマッチが、選考の最後の舞台だ。自分自身の強みをすべてぶつける覚悟が満ちている。
「スピードを持って背後に抜け出す部分や、アグレッシブに戦うのは自分の持ち味だと思います」
メンバー選考に関しては「まあ、まだなんとも、正直、何がどうなるかわからないので、何とも言えないですね」と話すが、大きな意欲を持ってそのときを迎える。
「自分にとっては一つの人生の岐路じゃないですけど、（オリンピックに）出ると出ないとでは今後も変わってくるので、そこはしっかり意識してやりたいと思う」
スピードとパワーを併せ持ち、前線からのシビアな守備をFC東京でたたき込まれたアタッカーは、最後の勝負の場で何を見せてくれるだろうか。