U-24アルゼンチン代表に敗れた現実を大迫敬介は冷静に受け止め、次に向けてすぐに動き出していた。チームで課題を確認し、共有し、その修正に努めている。すべては本大会を想定し、メダル獲得するためだ。

上写真=26日のU-24アルゼンチン代表戦で先発し、ゴールを守った大迫敬介(写真◎Getty Images)

何としてもかき出したかった

 強豪国を向こうに回して戦った90分は貴重な時間だった。結果、0-1。ゴールマウスを守った大迫は「悔しい」と率直に振り返った。

「1試合を通してそこまで決定的なピンチが多かったわけではないが、前半のあの一本でやられてしまったなと。ディフェンダー陣と協力してやっていただけに、あの1点は悔しい」

 確かに、アルゼンチンのチャンスが多かったわけではない。ただ、そのチャンスをしっかりシュートに結び付けていくレベルの高さがあった。

「チームとして考えるなら、まず簡単にクロスを上げさせたくなかった。相手の9番の選手(ガイチ)のヘディングが強いのはチームとして分かっていましたが、あの場面では全員がボールを見過ぎて、マークをフリーにしてしまった。僕自身もヘディングシュート自体が強いシュートではなかったので、何としてでもかき出したかったシュートではあります」

 パス1本でバルガスに抜け出されてクロスを許し、ガイチにヘディングを決められた。シュート自体は至近距離からのものではない。揺るかに弧を描くような軌道だったものの、クロスバーの内側を叩き、ゴールに吸い込まれた。絶妙なコースに飛んだシュートではあったが、GKとしては悔やまれる一発だった。

 とはいえ、下を向いている暇はない。試合翌日、すでに2日後の再戦に向けて大迫は気持ちを切り替えていた。本大会で決勝に進むことを想定すれば、中2日で6試合を戦い抜くことになる。課題をしっかり認識した上で、次に向かうことが肝要だ。試合中からラインが下がり過ぎないことやロングボールへの対応について声を掛け合ったが、その意識を全員で共有することが重要だと大迫は指摘する。「ビルドアップの部分でも、後ろでつなぐだけではなく、もっと裏のボールを増やす」必要性も確認したという。

「今回はいいシミュレーションになる。コンディションの部分や出た課題を中2日でどれだけ修正できるかは、勝ち上がっていく上の鍵になると思う。しっかり修正して、前回の悔しさをぶつけたい」

 今合宿には海外組も加わり、チームはより本大会に『近い形』で編成された。「プレーのスピードやクオリティーは間違いなく上がっていると思う。ただ、昨シーズンもそうですけど、なかなか海外組と一緒にトレーニングする機会がなかった。合わない部分は正直ありますが、限られた時間の中で埋め合わせやすり合わせたい。前回の課題を、練習で確認して29日のゲームに持っていければ」。時間がないながらもすり合わせて修正したいと話した。

 本大会まで4カ月。残された時間をより濃密なものにすべく、大迫は次への一歩を踏み出している。U-24アルゼンチン代表との再戦、そしてその後のJリーグで、どこまで今回感じた差を詰められるかーー。