U-24日本代表が東京オリンピックを見据えて、U-24アルゼンチン代表を招いた親善試合。2連戦の初戦では、相手のしたたかさに屈する形で0-1で敗れた。1点差だがとてつもなく大きな差を埋めるために、キャプテンの中山雄太が見えたこと。

上写真=中山雄太はキャプテンマークを巻いて中盤で激しくプレーした(写真◎小山真司)

■2021年3月26日 国際親善試合(@東京スタジアム/観衆:8,416人)
U-24日本 0-1 U-24アルゼンチン
得点者:(日)ガイチ

「サイドからのクロスはクオリティーを上げるべきポイント」

 アルゼンチンはしたたかだった。狡猾だった。堅かった。中山雄太はU-24日本代表のキャプテンマークを巻いたからには、自分たちよりも世界に頂点に近い彼らにやられっぱなしではいられない。

 何よりも、彼らのディフェンスへの執着は学び取らなければならない。

「僕たちも何回かゴール前で惜しいチャンスを作るシーンがありましたけど、ゴール前で体を張るシーンとか、やはり体を投げ出して当ててきたり、ゴールから1メートルくらいの距離のこぼれ球を押し込めなかったりというのがあったので、そこはもちろん見習うべきポイントでもありました」

 これが小さいようで大きい。それを「世界との差」と呼ぶ。

「僕らの失点で言えば、枚数は足りていたので。どちらかと言えばシンプルな形で崩されましたが、見習うべき部分はすごくあるなという印象と、その中でも手応えは何度かあったので、結果は0-1で敗戦してしまいましたが、そこはしっかり改善して次戦に向けて生かしていきたいと思います」

 21分、板倉滉がバルガスに弾き飛ばされるようにして左サイドを突破され、菅原由勢と渡辺剛と渡辺皓太の間に入られてフリーになっていたガイチにセンタリングをヘッドで押し込まれた。確かに形はシンプルかもしれないが、3人に捕まらないガイチの絶妙なポジショニングは高度なものだった。

 攻撃では、チャンスはつくるものの、最後のひと突きがパワー不足。

「ゴール前の堅さはすごく感じました。ゴールを割るためには、僕たちで言うと前線に強力なアタッカーがいるので、中央で崩せればベスト。でも、前半は感じていた通り、強固な守備ではあったので。(三笘)薫がサイドから崩していたり、後半で言うと相馬(勇紀)や三好(康児)が崩しているシーンがありました。スカウティングでも、中央は堅いけれどサイドにはスペースがあるということでした」

 サイド攻撃はオリンピック本番への光明にもなりそうだ。今回は川崎フロンターレで好調のコンビをそのまま左サイドに「移植」。旗手怜央と三笘をサイドバックとサイドハーフで先発させた。

「サイドからのクロスはクオリティーを上げるべきポイントだなと思います。そういった守備の仕方の相手に対しては、有効ではないのかなと思います。サイドからクロスの質を一つ上げることで、越えられる課題だし、その一つ越えることがいまは課題かなと思います」

 確かに、17分に久保とのコンビネーションで旗手が左サイドに入り込んだときも、センタリングが逆サイドの三好に合わなかった。70分の田川亨介がシュートを放ったビッグチャンスも、相馬のパスから左に抜けた久保の折り返しがGKに弾かれてこぼれてからのものだった。

 アルゼンチンの堅牢な守備と光明のサイドアタックという表と裏。東京オリンピックをシミュレートして、北九州に移動して中2日で戦う第2戦で、あぶり出された課題を克服できるか。