U-24日本代表のMF田中駿汰は他の選手たちと同様に、この合宿に並々ならぬ思いを持って臨んでいる。東京オリンピック本大会でメンバー入りするためには1日1日の練習、そしてU-24アルゼンチン代表との2試合で自身の成長と強みをアピールすことが重要だと語る。

上写真=日々の練習から刺激を受けつつ、自身の持ち味を発揮することに力を注ぐ田中駿汰(写真◎サッカーマガジン)

ボランチでもCBでも特長を出す

 田中駿汰が認識している自身の現在地は「アピールしなければいけない立場」だ。今回はMFとして招集されているが、ボランチなら中山雄太、田中碧、渡辺皓太らが競争相手だろうか。プレー可能なCBで言えば、板倉滉や渡辺剛、町田浩樹、古賀太陽、原輝綺もライバルだろう。

「自分の特長をしっかり出したうえで、チームの勝利に貢献していかないと生き残っていけないと思います」

 サバイブするために今回の合宿とU-24アルゼンチンとの2試合で自分の持ち味を出し切るつもりだ。

 ではその持ち味とは何なのか。田中自身の考えは、こうだ。

「ディフェンスで出るか、ボランチで出るかまだ分からないですけど、どこで出ても自分のところから攻撃のスイッチを入れられる縦パスは自分の特長。そして守備の部分では、しっかり1対1の強さを見せてきたいと思います」

 対南米勢という試合で思い出すのは、2019年11月のコロンビア戦だ。当時のチームにおいて、唯一の大学生プレーヤーとして田中は選出されていた。中山とドイスボランチを組み、出場したが結果は0-2の完敗。相手の圧力に屈してボールを前に送ることができず、攻撃を形づくることができなかった。試合後には「きょうの出来では全然、生き残れないなと思うので。今日感じたことを無駄にせずに、もう1回チームに戻ってもしっかりやりたい。これを最低の基準と考えて常に、練習からやってきたい」とコメント。あの悔しさを糧に、その後を過ごしてきた。そして今、今度は南米予選1位の強豪、アルゼンチンと対戦する。

「あの試合(コロンビア戦)は何もできなかったという思いが強かった。何が足りなかったというメンタルの部分。自信を持ってやるという部分は全然足りてなかったと思う。いまはしっかりやれる自信をつけてきているので、メンタル的な部分は、とくにあの試合から成長できた部分。そこは同じようにはならないように、しっかりやりたいと思います」

 もちろん対戦相手は違うが、アルゼンチン戦は自身の成長を確認する試合になる。

「簡単にはいかない相手だと思う。今まで僕は頭を使ってずっとサッカーをやってきたので、そこは継続して、頭を使って考えながらいければなと思います」

 今夜、田中は生き残りをかけて、そしてチームの勝利のために、アルゼンチン戦に臨む。