東京五輪世代の国内組の精鋭が千葉県内のトレーニング施設に集合し、『U-23日本代表候補トレーニングキャンプ』をスタートさせた。初日となった22日には午前と午後に2部練習。11カ月ぶりに五輪代表の活動に参加した上田綺世がオンライン取材に応じた。

上写真=合宿初日の練習に臨んだ上田綺世(写真◎サッカーマガジン)

 上田綺世は東京五輪を目指すチームの常連だ。チームの立ち上げ以来、最もゴールを挙げているFWでもある(15点)。ただ、ポジションが約束されているかと言えば、そうではない。五輪が1年間、延期されたことでライバルがより増える可能性もある。

 ただ、本大会の延期が決まってからここまでも、いたずらに時間を過ごしていたわけではない。この時間を自身が成長するために費やしてきた。上田が振り返る。

「(鹿島では)監督もスタッフも替わり、コロナの影響もあってすごくイレギュラーな1年でした。とくに最初のころは、それで悩んだし、自分が試合に出られなかったこともあって、自分について分析したり、考える時間がもすごく多かった。(シーズンの)最後はうまくいきましたけど、自分にどういう引き出しを増やしていきたいのか、どうやったらスタメンを取れるのか、どうやったら出場時間を増やせるのかというのを考えて、引き出しを、上田綺世としてのプレーのキャパシティというのを広げることができた。そういう1年だったんじゃないなかなと思います」

 引き出しを増やしたとは例えば、どういうことか。

「自負している特長が『動き出し』で、『ヘディング』もそうですけど、やっぱりそういうのを生かさなければと思いました。そこにすごくフォーカスしました。結局、どこのチームでもそうですが、僕が走ってもボールが出てこないことのほうがもちろん多い。動き出しも空振りで終わることが多い中で、途中出場とか少ない時間の中で数を増やしても評価は上がらないと感じました。ポストプレーだったり守備だったり、チームが必要とすることに重きを置きながら、その中で自分の特長を出す。監督はそこを評価するから試合に出ているという部分もあると思ったので、それ以外のところでも評価を受けることが、逆に目立てると考えました」

 自分を見つめ、長所を理解したうえで、足りない部分を補うべく取り組むことができた。鹿島で試合に出られない日々を過ごしたが、自らの力で乗り越えてきた。だから上田はいま、自信に満ちている。

「いまはすごく自信があります。それは一時的なものかもしれないですが、自信をもってサッカーができている。また自分が引き出しを増やしたという実感があるからこそ、色んなところに自信を持ってプレーできるようになったというのもあります。フォワードなので、また点を取れなくことも絶対に来る。いまは点が入っていますけど、取れくなるなる時期も来るので、そこでまた新しい引き出しを増やす、ということがそれを抜けることにつながるのかなと。それが、この期間に学んだことだと思います」

 森保一監督は今回の合宿に臨むにあたり、活動がなかった期間の選手たちの成長を確かめたいと話した。引き出しを増やした上田は、アピールするための武器をパンパンに積めて、この合宿に臨んでいる。