上写真=佐野海舟は圧倒的な運動量とハードな守備で中盤に君臨した(写真◎高野 徹)
■2026年10月5日 キリンカップ決勝(観衆61,812人/@MUFG国立)
日本 2-1 ニュージーランド
得点:(日)上田綺世、堂安律
(ニ)ベン・オールド
チームとして何が一番大事なのか
いまや、佐野海舟のいない日本代表は考えられない。改めてそう強く印象づける4連戦だったのではないだろうか。
キリンカップ決勝のニュージーランド戦では、2年半ぶりにスタートから4バックを採用した。そこで佐野海が披露したのは「押し出す力」だった。
いつものようにボランチに入って鎌田大地と並んだが、微調整を施す。
「鎌田選手が少し前めのポジションを取るので、自分がワンアンカー的な形になろうと意識していました」
ニュージーランドは日本の攻撃を警戒して、5-4-1のブロックを組んで深く構えてきた。それを突き崩すのに、前に出て極小エリアをこじ開けられる鎌田の技術が必要だった。
「ああいう狭いところでのプレーはすごく質が高いですし、そこで一つはがしたときがチャンスになっていました」
鎌田に加えて、サイドバックを押し出す役割も担った。特に右サイドではサイドハーフの堂安律にトップ下の久保建英が近寄って連係すると、佐野海が背後をカバーすることでサイドバックの中野就斗が高い位置に押し出して、崩しのトリオを組ませた。
64分に伊東純也が右サイドバックに入ってからも、その攻撃力を生かすために背後をがっちり支えながら前へ前へと進ませた。
「サイドのローテーションは日々練習していたので、そこで人数をかけて崩せれば良かったと思いますし、そこでのリスク管理は自分がもっとセカンドボールを拾って2次攻撃につなげられれば、サイドバックがもう少し前のポジションを取れたり、もう少しいい攻撃が前半はできたのかなと思います」
周りを押し出してゴールに向かわせ、自らはリスク管理を担って激しく奪い切る。そのフォーマットが日本代表に根付いてきた。
次のステップは、自分自身を押し出すこと。それこそ、ワールドカップのラウンド32でブラジルから奪った鮮烈な先制ゴールのように。
「自分もどんどん前に行きたい気持ちもありますけど、試合の状況や、途中から入ってきた選手の状況を見て、チームとして何が一番大事なのかは常に考え続けないといけないと思っています」
その条件がすべて整ったときに、自らにブーストを掛けるつもりだ。
守備の面でも、チームとしてのこのシリーズのテーマである「自分たちから奪い切る」ことへの手応えを得た。
「いいときは前線の選手が制限をかけながら、ボールの出しどころが限られたときにボールを奪えると思います。でもあれだけ全員がボールに行っていると、一つはがされたりしたら結構リスクはあります。でも、そのリスクを承知でこの4試合でトライできたのはすごいプラスだと思いますし、これから自チームに帰ってまだまだやるべきことはたくさんあるので、それをしっかりやって、次の代表に生かしていきたいなと思ってます」
自分たちで奪う守備と、周囲を押し出すマネジメント。次のワールドカップへ向けた最初の一歩に、佐野海はそれを刻んだ。