日本代表は9月10月シリーズの4連戦を3勝1分け(PK勝ち)と無敗で戦い抜き、最後はキリンカップ優勝で締めくくった。しかし、浮かない顔の男がいた。その決勝戦となる10月5日のニュージーランド戦で先発した鈴木淳之介は、不完全燃焼だった。

上写真=鈴木淳之介は4バックの左サイドバックとして先発(写真◎高野 徹)

■2026年10月5日 キリンカップ決勝(観衆61,812人/@MUFG国立)
日本 2-1 ニュージーランド
得点:(日)上田綺世、堂安律
   (ニ)ベン・オールド

決勝点のアシストのアシスト

 ニュージーランド戦でこのシリーズ2度目の先発出場を果たして全4試合の出場を達成しても、キリンカップで優勝しても、鈴木淳之介は浮かない顔をしていた。

「なかなか不慣れなポジションでしたけど、勝てたのはよかったです。ただ、自分が何ができたかと言われると、何もしていないので、そこは悔いが残るかなと」

 何もしていない、わけではない。相手GKのクリアをヘッドで前に送って左サイドの中村敬斗の足元に届けると、ここから中村が得意の縦突破で相手を置き去りにしてセンタリング、ゴール前を通過したボールを逆サイドから入ってきた堂安律がプッシュした。つまり、71分の決勝ゴールの起点として「アシストのアシスト」を記録している。

「まあシンプルに(中村が)見えていたので、出しただけです」

 それでもやはり、そっけない。自分自身に納得がいかないことがあまりにも多かったのだ。

 森保一監督はここまでの3バックから、この試合で4バックに切り替えた。鈴木淳に与えられたのは左サイドバックのポジション。この日のニュージーランドは守備に重きを置いてきたから、守備の局面でそれほど大きな危険は訪れなかったが、その分、攻撃へもっと関与すべきだったのに、できなかった、という後悔だ。

「左からなかなか攻撃の形を作れなかったですし、右サイドのようなコンビネーションがなかったので、そういうところは反省点かなと思います」

 右サイドはサイドハーフの堂安とトップ下に入った久保建英のコンビに、サイドバックの中野就斗がほどよくリンクした。28分の先制ゴールも、堂安のパスを受けた久保が一度ドリブルで深くに入り込み、後ろに戻したボールを中野がクロス、これを上田綺世が蹴り込んだものだった。

 鈴木淳は37分にゴール前に低く鋭いセンタリングを送って、触ればゴール、という絶好機も作った。しかし、ファーで待っていた上田は高めのボールを要求していて噛み合わず、右のような攻撃の迫力を左で発揮できなかったことが、後悔の大きな部分を占めている。

 64分に伊東純也、田中碧、中村敬斗が入っても、「4バックでやっていましたし、そこまで変わっていなかった」という状況だったと説明する。ただ、「右が(伊東)純也くんで結構前に行ってたので、自分はバランスを取ろうと思ってやっていました」という意識があった。

 そうなると、最終ラインで中央に絞りながらカウンターのリスクを排除する役割を優先させることになる。

「ディフェンスとして当たり前のことやっていただけなので、リスク管理だったり、そういうところしっかりやっただけです」

 自らは無理して前に出ず、左のアタックを中村の突破に任せる形になった。それも、攻撃に関与しきれなかった理由の一つかもしれない。

 78分までプレーしたが、いずれにしろ、鈴木淳にとっては不完全燃焼。それでも、この4連戦すべてでプレーする機会を与えられたのは、この新たな日本代表における守備の重要なキャストになるのを期待されてのことでもある。

 しかも、ウルグアイ戦では63分から登場して3バックの右でプレーすると、ベネズエラ戦では3バックの左で先発し、71分からは3バックの右に移った。エクアドル戦は67分から右ウイングバックでピッチに立って、そしてこのニュージーランド戦では先発して左サイドバックである。いずれも異なるポジションでプレーできたのは、その柔軟性がチームの力になることの証でもある。

 11月シリーズではブラジルと対戦する。2025年10月にブラジルに初めて勝ったゲームでは、その1対1の強さとフィードの正確さで一気にその名を知らしめた。ワールドカップでは敗れているから、その借りを返すとともに、鈴木淳にとっては相性の良い相手と再び戦って、ニュージーランド戦でまとわりついたこのもやもやを吹き飛ばしたい。