キリンカップ決勝のニュージーランド戦を翌日に控え、サッカー日本代表が10月4日にトレーニングを行った。日本の未来を担う選手も多く選出された今回のシリーズで、兄の海舟を追いかけるように青いユニフォームに袖を通している佐野航大は注目の存在だ。

上写真=佐野航大と兄の海舟がウルグアイ戦で「兄弟ボランチ史上初先発」と話題になった(写真◎落合史生)

強烈ミドルも「雨でラッキーだった」

 目の覚めるような、という比喩は、あのシュートのためにあるのだろう。

 9月14日、オランダのエールディビジ第6節で佐野航大がスパルタ・ロッテルダムを相手に20メートルほどのレンジから突き刺した強烈なミドルシュート。

 オランダの名門、PSVアイントホーフェンに移籍して初めて決めたこのゴールについて「雨でラッキーだったんですけどね」と柔らかに笑ったが、「そういう場面があればどんどん足を振っていきたいです」と、日本代表の一員としても遠慮なく狙っていく意欲を率直に口にした。

 今回の4連戦では、初戦のウルグアイ戦で兄の海舟とボランチでコンビを組み、「兄弟ボランチ史上初先発」と話題になった。はつらつとプレーしたものの、45分でのプレーに終わった。

「僕は最初の45分しか出ていない。最後にチャンスがあればしっかりチームの勝利に貢献できるように頑張りたいです」

 ベネズエラ戦、エクアドル戦に出番はなかった。10月5日、キリンカップ決勝となるニュージーランド戦の出場はあるか。

「もちろん、試合に出た方が得られるものはある」と現状に納得しているわけではない。ただ、試合に出られなくても得られるものを貪欲に探している。

「強度のところもテレビで見ていては分からないところがあるので、その強度に合わせてチームに持ち帰ってやらなければならないし、代表でも見せなければいけない」

 トレーニングも含めて自分のプレーの基準を高め、それを実直に追いかける成長のサイクルにある。

「チームでやっていることが代表でも出ると思うし、基本的にずっとプレーするチームでのパフォーマンスや強度が代表でやるときにも出る。だから、両方大事です」

 その魅力は何と言っても、ユーティリティー性にあるだろう。

 日本代表では、2025年6月にデビューしたワールドカップ最終予選第10節のインドネシア戦で61分から登場して、左シャドーに入って久保建英と、さらに69分に一列上がった海舟と並んだ。今年3月の親善試合、スコットランド戦では初先発、鈴木唯人と組んで左シャドーで前半の45分をプレーした。そして、今回の4連戦の初戦のウルグアイ戦では上記のとおりに海舟と組んで左ボランチで先発し、またも45分のプレー。

 今季から加入したPSVでは、4-3-3の左インサイドハーフやアンカー、4-2-3-1のボランチでもプレーして、どんな戦術にも柔軟に対応している。賢くなければ務まらない。

「移籍する前から、自分のやりたいことやチームの戦術を理解できればフィットするクラブだと思っていました。その意味では、チームになじんだというよりは、自分の特徴がチームに合っているという感覚に近い」

 そうこともなげに言うが、とても幸せなステップアップだということだ。チャンピオンズリーグにも出場している名門クラブでポジションをつかんだことが、その才能の高さを物語っている。では、ベストポジションはどこなのか。

「もちろん得点に近いのは2列目やトップ下なので、そこでもいいですし、でも、ゲームをコントロールするところも特徴なので、3列目でもいいかなと」

 どちらでもいい、と言い切れる。頼もしい限りである。

 その才能を、未来の日本代表のために生かさなければならない。