現地時間6月29日、日本は北中米ワールドカップのラウンド32でブラジルと対戦し、1-2で逆転負けを喫した。板倉滉は前の試合で感じた筋肉の違和感もあって出場しなかったが、キャプテンとしてベンチから一緒に戦い、試合後には号泣した田中碧に寄り添った。

上写真=田中碧(右)の痛みを板倉滉が分かち合った(写真◎JMPA毛受亮介)

■2026年6月29日 北中米ワールドカップ・ラウンド32(ヒューストン)
ブラジル 2-1 日本
得点:(ブ)カゼミーロ、ガブリエウ・マルティネッリ
   (日)佐野海舟

「ここで終わるチームではない」

「彼のミスがどうのこうのっていう、そういうことはまったくなくて。チームとして戦って、チームとして負けた。それだけ」

 90+5分に食らった逆転ゴールは、田中碧が一度は激しくボールを奪いながら味方へのバックパスが短くなって相手に渡ったところからブラジルの攻撃がスタートした。1-2のまま終了のホイッスルが鳴った瞬間から、田中はうずくまって涙が止まらなかった。

 寄り添ったのは、板倉滉だった。このチームのキャプテンとして、そしてなにより川崎フロンターレのアカデミー時代からずっと一緒に歩んできた仲間として、悔しさを一緒に受け止めた。

「僕としてもやっぱり悔しい思いもあるし、彼も悔しい思いはあったと思いますけど、まずは彼がいなかったら自分たちはここまで来れていないから」

 田中はチュニジア戦、スウェーデン戦でフル出場、どちらもハードながら華麗にボールを奪う守備で貢献し、チュニジア戦では思い切って攻めに出て、鎌田大地の先制ゴールにつながる「アシストのアシスト」のパスも中村敬斗に送っている。

 だからこそ、最後の最後のミスは田中の責任ではなく「チームとしての負け」だと板倉は認めるのだ。

 それでも、成長の実感はある。

「自分は前回のカタール・ワールドカップと今回の2大会連続で経験させてもらって、間違いなくチームとしてできることは増えてると思う。ここで戦える力がついてきて、日本人のメンタリティーの良さを生かした試合というか、相手の芽を潰しながら戦うのは今回の大会では見せられたと思う。

 相手を見ながらというか、戦い方を変えたりするのもスムーズにできて、カタール・ワールドカップのあとからの積み上げをこのワールドカップでチームとして表現できていたと思います。日本サッカーが今後どうやって立ち向かっていくか、そのベースを表示するところはできていた」

 個人としても困難に立ち向かった大会だった。遠藤航が負傷のために初戦となるオランダ戦の3日前にチームを離脱、キャプテンを引き継いだ。グループステージ第3戦のスウェーデン戦では筋肉の違和感を覚えて39分にピッチをあとにして、このブラジル戦は出場しなかった。

「キャプテンとしてチームを助けられたかと言われたら、まだまだそんなことはなかったなと。そういう悔しい部分もありつつ。ただ、みんなが本当に意欲的にやってくれて、この雰囲気を作ってくれて。自分がどうこうっていうことはなかったですけど、だからこそここで終わるチームではなかった」

 その目にも涙が浮かんだが、一体感を強めたチームを先頭に立って引っ張っていった。

「勝負というのは勝敗が決まるものであって、ここで終わってしまってそれも自分たちの実力だと認めないといけない。ただ今後、日本代表が強くなる道筋はチームとして提示できてたんじゃないかと思います」

 新しい種は蒔かれた。それを大きく育てる役割が、新キャプテンに託された。