北中米ワールドカップのラウンド32で、日本代表はブラジル代表と対戦する。昨年10月にホームで対戦した際には3−2で逆転勝利を収めた相手だが、選手たちは親善試合とワールドカップでは違うと口にする。カルロ・アンチェロッティ監督が、日本戦以降、さらに強化に努めてきた『本気のブラジル』とはどんなチームなのか。日本が返り討ちにする隙があるのか――。

スコットランド戦で見つけたバランス

前日会見に登壇し、日本に対する警戒を口にしたアンチェロッティ監督(写真◎Getty Images)

 一方で不安要素もある。1つは選手層の薄さだ。主力にはワールドクラスの選手が揃っているものの、ベンチに控えるメンバーは過去の大会に比べて心許ないと言わざるを得ない。また、前日練習を見ていても、主力とそれ以外の間には明確な線引きがあるように感じた。

 若手を中心とした先発出場する可能性の低い選手たちが先にグラウンドに出てきたが、ネイマールを中心とした重鎮たちは練習開始ギリギリに姿を見せたのである。キャプテンのマルキーニョスや、パケタ、ブルーノ・ギマランイス、ガブリエウ・マガリャンイス、カゼミーロら中心選手たちの放つオーラは別格とはいえ、その他の選手たちと一枚岩に慣れているのかどうかには疑問が残る。

 そしてもう1つの不安要素は、ネイマールの存在である。サプライズ招集された背番号10は大会直前の負傷によりリハビリを強いられていたが、グループステージ第3戦のスコットランド戦に途中出場してようやく復帰を果たした。

 そのスコットランド戦でネイマールは76分からピッチに立ち、アディショナルタイムも含め約20分間プレーした。アンチェロッティ監督は日本戦の前日記者会見で「ネイマールは順調に回復している。ここ1週間で大きく進歩したと思う。いつも一緒に練習できなかったのは残念だが、彼は15分以上プレーできるまでになった。もちろん(出番があるかは)明日の試合の状況次第だが」と述べ、コンディションがかなり改善していることを示唆した。

 だが、試合や前日練習での様子を見る限り現状のネイマールはウェイトオーバー気味で、かつてのようなキレはない。仮に途中出場したとしても最前線しか起用する場所がなく、守備の負担も求められないためチーム全体のプレー強度を落としてしまうリスク要因になりうる。

 スター選手たちを手懐けてリスペクトを集めるイタリア出身の名将は、日本戦でどのような采配を見せるだろうか。昨年10月に東京で史上初めてサムライブルーに敗れた悔しさを、W杯の舞台で晴らそうと躍起になってくるのは間違いない。同じ相手に2連敗することだけは絶対に避けたいだろう。

 そうした中、スコットランド戦で見つけたバランスを維持しながら、前線のタレントの能力をどのように引き出し、どこで勝負に出てくるか。ピッチに立つだけで選手やファンのテンションを上げられるが、パフォーマンス面での期待が薄いネイマールをどのように活用するか。リベンジを果たすための一戦で、知将アンチェロッティのお手並み拝見だ。

文責◎舩木渉