サッカー日本代表は現地25日、北中米ワールドカップのグループステージ第3戦、スウェーデン戦に臨み、1−1で引き分けてF組の2位で決勝トーナメント進出を決めた。難しい展開の中、終盤には長友佑都が今大会初出場(アディショナルタイムも合わせて22分間プレー)。5度目のW杯出場を成し遂げた。

上写真=ゲーム終盤についにピッチに立った長友佑都(写真◎JMPA毛受亮介)

4年間の思いが詰まった22分間

 4年間の思いの詰まった22分間だった。

 75分、長友佑都が中村敬斗に代わってピッチへ呼び寄せられる。アジア最終予選では出番がなく、本大会のメンバー入りを危ぶむ声すらあった。しかし、39歳のベテランはただの「5度目のW杯参加者」に甘んじるつもりなど毛頭なかった。ピッチに足を踏み入れた瞬間、彼は正真正銘の「出場者」として、日本の歴史に新たな金字塔を打ち立てた。

「(監督から名前を呼ばれたときは)興奮して覚えてないです。来たか、ついに来たかと。4年間、このためにやってきたから。試合に出られない悔しさもありましたけど、自分は選手としてここに来ている。腐らずに準備してきたことが、ここまで繋がったと思う。まずは起用してくれた森保(一)監督に感謝したい。それにベンチのチームメイトたちが、エグいくらい声をかけて応援してくれた。本当に感謝しかないです」

 ピッチ内外でチームを鼓舞し続けてきた長友の貢献は、誰もが認めるところだ。他の誰よりも真摯にサッカーと向き合う背中を、後輩たちは見つめてきた。

「シンプルに試合状況を見て、いま佑都くんが必要だと僕も思っていた。だから彼が出て、試合が終わったときは素直に嬉しかった。後輩ながら、本当に努力している姿を学ばせてもらっている。すげえな、しぶといな、と思いながら(笑)。本当に尊敬できる先輩です」

 堂安律は、偉大な先輩の出場を自分のことのように喜んだ。そしてベンチの声は、ピッチを駆ける長友の耳にしっかりと届いていた。

「いやもう、魂の叫びかっていうくらい後輩たちが後押ししてくれた。ピッチのすぐ横に、エグいくらい熱いサポーター(ベンチメンバー)がいましたから。自分がやってきたことは間違ってなかったんだなと。僕もベンチから彼らを絶対に孤独にさせないと思って鼓舞してきたけど、その気持ちが響いていた。今度は彼らがそれを体現してくれた。結束力がさらに深まる、魂の繋がりを感じましたね」

 森保監督がこの緊迫した局面で長友を投入した意図も、明確だった。

「オランダ以上に得点を奪ってスウェーデン戦に勝ちたいという思いはありましたが、簡単に勝たせてもらえない流れだった。まず自分たちの戦い方が崩れないように、かつ守備から攻撃のチャンスを窺うために起用した。攻撃の意識だけになってゲームを崩すことがあってはならない。そこはさすがベテランで、チーム全体に『バタバタするな』と落ち着きをもたらし、最低でも勝ち点1を取りにいくゲームコントロールをしてくれた」

 終盤、日本の脅威となっていたスウェーデンの快足アタッカー、アンソニー・エランガと対峙する局面を迎えても、長友の心は全く怯まなかった。

「オランダ相手にもぶち抜いていたエランガを止めなきゃいけない、非常に難しい展開。でも、自分ならやれると思って準備してきた。練習から(伊東)純也や律、塩貝(健人)といった選手たちとバチバチにやってきている。全然ビビらなかったです」

 1−1でスウェーデンと引き分けた日本は、次戦からはいよいよ負ければ終わりのノックアウトステージに突入する。ラウンド32の相手は、王国・ブラジルだ。アジア勢初となる「5度目のW杯」を戦うレジェンドは言った。

「決勝トーナメントになってくると、勢いだけじゃダメ。それは2018年のロシアW杯で経験している。ベルギー戦は勢いで2点をリードしたものの、相手は高い選手を置くパワープレーも含めて、僕らに勝つための戦略を冷静に持っていた。強い国にはそれがある。だからこそ『冷静さ、賢さ、ずる賢さ、そして戦略』が必要」

 一発勝負の戦いを見据え、長友は「プランの共有」を強調した。

「90分で勝ちきれない場合もある。延長、PK戦まで見据えた中で、全員がブレずに『今行くべきか、それとも堅く守って延長に突入すべきか』というプランを遂行できるか。僕にはロシアの経験がある。それをみんなに伝えていきたい」

 安心感と一体感が今、チームに宿る理由ーー長友佑都は改めて自身の存在意義を証明した。