上写真=大勢のファンが見守る中、ランニングする渡辺剛(写真◎佐藤景)
「高さ」という避けては通れないテーマ
「あれだけファンの方も入っているし、本当にワールドカップが近づいてるなっていうのを改めて実感しました」
MLS(メジャーリーグ・サッカー)のナッシュビルSCの本拠地、ジェオディス・パークにはこの日、5000人以上の観客が集まっていた。ピッチ上で歓迎セレモニーを受け、リカバリートレーニングを行ったあとで取材に応じた渡辺剛の表情には、いよいよ本番を迎える高揚感と引き締まった空気感が見て取れた。
ナッシュビル入りする前日、チームはモンテレイにおいて、非公開でU-19日本代表とのトレーニングマッチ(35分×4本)を行った。多くの選手が70分以上プレーしてコンディションの調整を図りつつ、初戦のオランダ戦を想定した戦術確認を実施。結果は2−1でA代表が勝利している。
「結構暑くて、試合をしないとわからない暑さや、動きのコンディションを確認できました。話していいのかわからないですけど、内容も、ある程度自分たちの課題も、良いところも見つかったかなと思っています」
オランダを想定した一戦であったことを渡辺も認めるが、浮き彫りになった課題の一つが失点場面だ。前日の囲み取材で森保一監督が「すごくきれいに崩されたという感じではないが、逆にU-19側からすると、選手の良さを生かして点を取れた」と説明した通り、日本のゴールをこじ開けたのは191センチの長身を誇るFW尾谷ディヴァインチネドゥ(FC東京)だった。ロングボールを放り込まれ、ゴール前の競り合いからDF陣が処理しきれずにこぼれたボールを決められたという。
この失点シーンについて、渡辺に話を聞いた。高さとフィジカルも武器であるオランダやスウェーデンを攻略する上で、ロングボールへの対応は避けて通れないテーマだからだ。
「そうですね。(オランダ代表FWの)ブロビーみたいに体の強い選手や、背の高い選手など、どちらかというと今まで自分たちが苦手としてきたタイプの選手がスウェーデンにもいるし、チュニジアもそういう戦い方をしてくると思います。そういう意味ではしっかり準備しないといけない。個人のところというよりはチームでリスクをケアし、誰かがアプローチに行った時に誰がどこをケアするのか、全体的にコンパクトさを保てるかというところが、今まで以上に大切になってくる」
短期決戦において、たった1つの失点が試合の命運を大きく左右することを、渡辺は改めて痛感していた。
「最近対戦してきた相手は、ボールを保持して綺麗に崩してくるチームが多かった。一方で、今回はラフなボールも蹴ってくるようなチームがある。そこは僕たちの課題でもあるし、ここからもっともっと伸ばしていかないといけない部分」
U−19代表との試合はW杯出場国とのテストマッチではなかったものの、本番を見据えたシミュレーションとして有意義な時間になったと振り返り、渡辺はチーム全体でこの失点場面を検証し、共有したいと語る。
「誰が考えても、初戦のオランダ戦が一番大事。そこで入りにミスをして崩れてしまうと、その後の2試合が難しくなる。オランダ戦でどれだけ自分たちの力を出して良い結果を得られるか。引き分けも視野に入れながらも、しっかり勝ちに行くことが、初戦は特に大事だと思っています」
大会初戦まで、あと6日。高さと強さに自信を持つセンターバックは、課題をクリアし、万全の状態で決戦に向かう。
取材◎佐藤景【現地】