サッカー日本代表は14日、『キリンチャレンジカップ2025』でガーナ代表と対戦する(19時20分開始/@豊田スタジアム)。アフリカ予選のグループIを首位で突破し、2大会連続5度目のワールドカップ出場権をつかんだ『ブラックスターズ』はどんなチームなのだろうか。

高さとセメンヨのロングスローは要警戒

ガーナのオットー・アッド監督(写真◎舩木渉)

 ドイツ生まれの指揮官が率いるガーナはアフリカ予選で4-2-3-1と3-4-3を使い分けてきた。ただ、ビルドアップ時は基本的に左サイドバックがあまり高い位置を取らず、どちらのシステムでもディフェンスラインに3人が残って攻撃を組み立てていくため、違いが見えるのは主に守備時の配置になる。これまでの傾向を見ると対戦相手に噛み合わせてくるため、3-4-3を基本とする日本に対しては3バックで対応してくるかもしれない。

 後ろではゆったりとしたテンポでボールを回し、ウイングにパスが入ったタイミングで一気にスピードアップするのが攻撃の特徴だ。久保が「日本代表のウイングとガーナのウイングだったら、現状はガーナの方が個々の能力はすごく高いと思う」と言っただけあり、最大の武器はサイドにある。

 今回の招集メンバーでは主に左ウイングで起用されるアントワヌ・セメンヨを警戒すべきだろう。ボーンマスに所属する25歳は、今季のプレミアリーグで左右両サイドをこなしながら11試合出場6得点3アシストと躍動している。圧倒的なフィジカルと加速力を生かした迫力満点の突破から独力でフィニッシュまで持っていける個のクオリティは、まさしくワールドクラスだ。

 さらには上田綺世が「セットプレーが基本的に得点源になってくる、これまで僕らがやっていないような相手」と述べたように、高さを生かしたコーナーキックやフリーキックも注意したい。ガーナには190センチを超える長身選手も多く、体格では日本をはるかに上回っている。セメンヨが投げるロングスローもチームの武器の1つになっており、プレーが切れて相手ボールになるシチュエーションをできる限り減らさねばならない。

 ガーナにとっての懸念材料は選手たちのモチベーション管理だ。同国メディア『ガーナ・サッカーネット』はガーナサッカー連盟の広報ディレクターを務めるヘンリー・アサンティ・トゥム氏の話として、「ブラックスターズの選手には勝利ボーナスはなく、受け取るのは日当のみ」と伝えている。若手選手たちがアピールに燃える一方で、遠くヨーロッパやアフリカから遠征してきたにも関わらず、連盟の財政難などの影響でわずかな報酬しか受け取れないことがチーム内に温度差を生みかねない。

 それでもアッド監督は「今どのような順位だったとしても、自分たちにはしっかりと戦う能力があるんだということを確認していきたい。明日の試合で日本と対戦することによって自分たちが国際的な基準に見合った能力を持っているということを示しつつ、W杯に向けてどういった方向性が正しいのかを見極めていきたい」と有意義な90分間とすべく燃えていた。

 これまでの通算対戦成績は日本の3勝に対しガーナは5勝で勝ち越している。お互いにとって北中米W杯に向けた重要なテストとなる試合で、どちらが勝ち星を増やすか。3年前よりもタレント力がはるかに向上した“ブラックスターズ”がここぞの場面で見せる爆発力に期待したい。

文◎舩木渉