サッカー日本代表は14日、『キリンチャレンジカップ2025』でガーナ代表と対戦する(19時20分開始/@豊田スタジアム)。アフリカ予選のグループIを首位で突破し、2大会連続5度目のワールドカップ出場権をつかんだ『ブラックスターズ』はどんなチームなのだろうか。

上写真=ブラックスターズの愛称で知られるガーナ。その実力は決して侮れない(写真◎Getty Images)

「洗練されたチーム」(森保監督)

プレミアリーグのボーンマスに所属するアントワヌ・セメンヨ(写真◎舩木渉)

 最新のFIFAランキングで19位の日本代表に対し、ガーナ代表は73位につけ、アフリカ勢で上から14番目と低迷しているように見える。しかし、久保建英は「今のガーナは、正直相手としては名前の割に合わないかなと思っているので」と強い警戒を口にした。

 なぜだろうか。3年前の前回対戦時にガーナからA代表初ゴールを挙げた久保はこう続ける。

「みんなが思っているガーナよりたぶん強いと思うし、特に前線の選手はブラジルと比較しても何の遜色もないウィングの2枚もいますし…」

 FIFAランキングの順位はただの数字。久しぶりのアフリカ勢との対戦に気を引き締める24歳は「FIFAランク100位だから全員100位の選手なのかと言ったら、そういうことでは全くないと思うので、僕らだけじゃなくて応援してくれるみんなも気を引き締めて欲しいなと思います」と呼びかけた。

 13日の前日記者会見に登壇した森保一監督も「非常に多くの選手が攻撃において個々の力で局面を打開でき、能力の高い選手が多いと思っています」とガーナのアタッカー陣の質の高さに言及し、手強い相手であることを強調していた。

「監督が選手時代、指導者としてもドイツを中心にキャリアを積んでこられて、組織的に戦うところ、戦術的な落とし込みも非常にうまくいっている印象を持っています。攻撃的にも戦えれば、守備的にも戦える。4バックもやれれば3バックもやれる。対戦相手によって戦術的にも使い分けて戦える、洗練されたチームだと思います」

 ガーナは北中米W杯のアフリカ予選グループIを8勝1分1敗の首位で切り抜け、本大会出場権を手にした。

 2023年11月に行われたアフリカ予選2戦目で格下のコモロにまさかの敗戦(●0-1)を喫したガーナは、直後の2024年1月にはアフリカ・カップ・オブ・ネーションズでグループステージ敗退という屈辱を味わった。

 クリス・ヒュートン監督が解任となり、後釜に据えられたオットー・アッド監督がチームを立て直して“ブラックスターズ”を2大会連続5度目のW杯出場に導いた。

 現役時代にボルシア・ドルトムントなどで活躍し、マインツ時代にはユルゲン・クロップからも指導を受けたことがあるアッド監督は、今回が2度目のガーナ代表監督就任だ。2022年2月から同年末まで“ブラックスターズ”を率いた際は、カタールW杯の舞台にも立った。

 日本代表にとってアフリカ勢では最多となる通算8度目の対戦だった2022年6月の国際試合でも、アッド監督はガーナの指揮を執っていた。当時は1-4でサムライブルーに屈したが、「日本のサッカーはどんどん進化していますので、明日の試合は非常にタフなものになると思います。一方でガーナの方にも若い選手がどんどん育ってきています」と成長した姿を見せてリベンジを果たすつもりだ。

 ただ、今回の日本と韓国との連戦に向けては、久保が「ブラジルと比較しても何の遜色もないウイング」として挙げた2人のうちの1人、モハメド・クドゥスが負傷により招集メンバーから外れている。他にもジョーダン・アイェウやトーマス・パーテイ、アブドゥル・ファタウ、アレクサンダー・ジク、イニャキ・ウィリアムス、ジョセフ・ペイントシルといった多くの主力選手たちがいずれも負傷や疲労を考慮されて招集外となった。

 一方でMLSのCFモントリオールでゴールを量産するプリンス・オセイ・オウスの他、チェコで評価を高めるプリンス・クワベナ・アドゥ、国内組の有望株ケルビン・ヌクルマといった若手が初招集。また、ようやくガーナ国籍取得が叶ったウニオン・ベルリン所属の左サイドバック、デリック・ケーンも代表デビューを期待されている。

 チーム内には正GKのベンジャミン・アサレをはじめ、モナコで南野拓実と同僚のモハメド・サリスやオセイ・オウスのように来日が遅く、前日13日からチーム練習に合流した選手もいる。そのため日本戦は若手や新戦力をテストする機会になりそうだ。

 アッド監督も「今まで使ってこなかったような選手や若手の起用を試してみる機会になると思っています」と述べ、「若い選手たちにはハングリー精神があります。自分たちこそぜひW杯に出場したいという強い気持ちを持っていますから、これをチャンスと捉えて、1つか2つポジションを奪い取るような気概で頑張ってほしい」と経験の浅い選手たちに奮起を促していた。