サッカー日本代表が迎える11月シリーズ。14日のガーナ代表戦に向けて12日にトレーニングを行なった。南野拓実はブラジル戦で0-2から逆襲を開始するゴールを決めたのに続いて、ゴールでチームを引っ張るつもりだ。

上写真=南野拓実はゴールを決める準備を怠らない(写真◎青山知雄)

「もう1回チームとして」

 少し時計の針を戻して、日本が初めてブラジル代表から勝利を挙げた10月14日のテストマッチ。

「前半と後半で全然違うチームだったな、という話はしました。アンチェロッティ(ブラジル監督)がハーフタイムに絶対に緩めるなと言ったらしいですけど、カイオが言うには何人かの選手は『もう勝ったやろ』ってなっていたみたい。僕らは逆にそこを突けるだろうと思っていたので。試合後、アンチェロッティはめちゃ怒っていたらしいですけどね、それに対して」

 南野拓実がカイオ・エンリケから聞いたという舞台裏である。彼はASモナコ(フランス)のチームメートで、ブラジル代表としてこの試合に74分からピッチに登場していた。

 油断を見逃さずに突いて、勝利へとつなげていく。ブラジル撃破をもたらした日本の「勝利の方程式」は、11月シリーズのガーナとボリビアにも見せるつもりだ。

 そのためには、10月シリーズのパラグアイ戦の引き分けで出た悪癖を解消する必要がある。

「相手がモチベーション高くやってきて、割り切ったプレーというか、ロングボールやフィジカルを前面に出す相手に対して、僕らはうまく戦えていないところがある。ブラジルみたいな相手だと割り切って、ブロックを作って分かりやすくできるが、試合の中できっ抗したり、狙いがないロングボールを放り込んで来るときにやられたりする」

 歴史的に見ても、それこそが日本の弱点であり続けた。正攻法から外れたような戦いを挑まれたときに、イーブンな状況からどうやって押し込んで優位な立場に移行するか。それが、11月シリーズにおけるクリアすべき課題の一つととらえている。

「それは言い訳にならないし、ワールドカップでもそういう相手と戦わないといけない。自分たちと同じぐらいのレベルの相手に勝ち切れていないのは問題だと思うので、ブラジル戦に勝ったあと、もう1回チームとして、自分たちの強さと積み上げを見せられればと思います」

 そのために、相手の嫌なスペースを攻略する南野のクイックネスが効力を発揮する。

「最後は個というところはありますけど、チーム全体としてはいままでやってきたようにワイドに1対1に強い選手がいる。その強みを生かせるようにサポートしながら、中が空いたら僕やタケ(久保建英)のような狭いスペースで生きる選手をうまく使って攻撃する。セオリー通りにはいかないし、きれいにはいかないので、1枚相手をはがしてチャンスを作ったり、強引にシュートにいって決めきる力が大事になってきます」

 ブラジル戦で逆襲ののろしを上げたのと同じように、狭いスペースで輝く南野がゴールを決めて、「勝ち切る」姿を見せる。