上写真=ガーナとの対戦を前に、アフリカの選手の印象は「強いし、速いし、伸びる」(写真◎青山知雄)
「柔軟にやっていく必要がある」
田中碧はイングランドの古豪、リーズ・ユナイテッドのメンバーとして自身初のプレミアリーグを日々戦いながら、同時にワールドカップに向けて鍛え上げる幸せなシーズンを送っている。
10月シリーズはパラグアイ戦で先発して78分までプレー、ブラジル戦では3-2と逆転した直後の74分からピッチに立って、歴史的初勝利の瞬間をピッチで迎えた。
「相手によって起こり得るシチュエーションは変わってくると思いますけど、それに対して柔軟にやっていく必要がある」
キーワードは「柔軟」だ。10月の相手、パラグアイでもブラジルでも、今回の11月シリーズで相まみえるガーナでもボリビアでも、そしてそれ以外のどんな相手でも「やるべきこと」を変幻自在にさせる。それは、相手を見て最適なポジションを取ることのできる、田中の持ち味でもある。
ポイントは「主導権をどう握るか」だというが、これには重要な解釈がつく。
「ボールを握って主導権を握るのか、相手に持たせても自分たちが主導権を握るのか、ということがすごく大事」
10月シリーズではパラグアイ戦でもブラジル戦でも、主導権を相手に明け渡すところから試合に入る形になってしまった。その反省がまだ生々しい。
俗に「主導権」と聞くとボールを持つ時間の長さを基準に考えがちだが、ピッチに立つ選手たちは相手にボールを持たせて主導権を取る方法も知っている。ただ、それは目的ではなく過程。
「とはいえ、サッカーってやっぱりゴールで決まるものなので、流れとか関係なしにセットプレーは試合の結果を壊せるというか決められる。流れがどんなに悪くてもセットプレーで点を取って勝ち切れる、そういう細かい部分はすごく大事。内容が100点で結果も100点という試合は難しいと思うので、内容が50点でも勝ちという結果を取れるようなスタイルというか戦い方も必要だと思うので、セットプレーなどで内容に関わらず勝負を決めるのは、個人的にはプレミアリーグでやっていてもすごく大事だと思うので、自分たちが守るときもそうだし、攻めるときも含めて、重要かなと思います」
というわけで、頭脳派ボランチがこの11月シリーズでテーマにする数多くのことの一部は、「主導権の握り方」と「セットプレーからのゴール」だ。