上写真=谷口彰悟が1年ぶりに復帰して3バックのセンターで守備を統率した(写真◎Getty Images)
■2025年10月14日 国際親善試合(観衆44,920人/@東京スタ)
日本 3-2 ブラジル
得点:(日)南野拓実、中村敬斗、上田綺世
(ブ)パウロ・エンリケ、ガブリエル・マルティネッリ
「ヒリヒリしたゲームをやれた」
負傷から1年ぶりの復帰戦で、ブラジルを相手に2点のビハインドをひっくり返して、14試合目にして初めて勝利。谷口彰悟にとっては思い出深い1日になった。
「1カ月くらい前から90分出るようになって、試合勘も徐々に上がってきている感覚があったので、そんな中で一瞬でも油断したらやられるような相手とヒリヒリしたゲームをやれたのは自分の中ではものすごくプラスになっています。失点をしてしまいましたけど、最後にしっかり鍵をかけるというか、後半ゼロで抑えるのは何とかやれたので、そこは自信を持って次につなげていきたいと思います」
前半に鮮やかなコンビネーションを許して、26分にパウロ・エンリケ、32分にガブリエル・マルティネッリに決められた。しかし、後半に入って52分に南野拓実、62分に中村敬斗、71分に上田綺世が決めてみせた。
逆転の要因はいろいろあるが、谷口が指摘したことの一つはスピード感だ。
「相手が解決策を見つける前にああやって点を取れたのは非常によかった」
前半はミドルブロックを敷く守備だったが、2点を失ったから後半は前から奪いに出た。単に速く走るという個のスピードだけではなく、戦い方を切り替えて、相手が対応するよりも早く攻め抜くという、グループとしてのクイックネスに胸を張った。
その土台を最終ラインに作った。3バックの中央で守備を統率する谷口は、右に渡辺剛、左に鈴木淳之介を従えた。
「僕の両サイドも対人を含めてかなりやってくれていたので、非常に頼もしかったし、その2人をしっかりコントロールするのが僕の仕事の一つでもあったので、2人は相当ハードワークしてくれたのでかなり救われました。みんなで守れたと思っています」
7キャップ目の渡辺、3キャップ目の鈴木のフレッシュで堂々たる守備を引き出しながら、チームとして前に出ていくことで生まれるリスクを引き受けた。
「後ろはそのときは同数で、マンツーマンになるのを恐れずに、スペースはあるけど出させないという守備ができていたし、ブラジルも解決策を見つけられていないというところがあったので、これはいけると感じていました」
反転攻勢には、前線の選手たちを迷いなく押し出す最後尾のしなやかな強さがあった。ビニシウス・ジュニオール、ブルーノ・ギマランイス、ルーカス・パケタがくるくると入れ替わりながら中央を狙い、左にはガブリエル・マルティネッリ、右にはルイス・エンリケが幅を取るブラジルに、どう対応したのか。
「ゼロトップっぽいというか、特に前半はヴィニシウス選手が僕の周りから左にちょっと落ちてということが結構あったので、自分がどこまでついていくのか、どこで受け渡すのかはかなり丁寧にやったつもりです。一瞬の隙でも見せてしまえば仕留められるという緊張感というかヒリヒリした感じはすごく感じたし、スピードに乗らせると難しいので、本当に頑張って、なるべくブロックを自分たちのゴールから遠ざけて、時間とスペースを与えないようにということはやっていたんですけど、結果的に前半に失点してしまったので、そこは反省点です」
こちらの工夫を超えるコンビネーションで2点を失ったことは、逆転勝利の喜びとは別の軸で、猛省した。
それでも、川崎フロンターレ時代にチームの合言葉のように話していた「勝って反省できる」メリットはやはり大きい。
「(1失点目は)一歩でも半歩でも、ちょっとカバーを早めていたら最後に足に当てられたと思っているし、その辺はあらゆることを考えないといけないのが3枚の真ん中だと思っています。自分だったらできるという期待も含めてやっていきたい」
センターバックに冨安健洋、伊藤洋輝、板倉滉、町田浩樹、高井幸大と負傷者が続出していたが、この日は谷口、渡辺、鈴木で見事に勝利を手にした。ポジション争いが激しくなればなるほど、日本の守備は磨かれていく。