上写真=遠藤航が不在の中で臨んだ試合で南野拓実はキャプテンを務めた(写真◎毛受亮介)
こぼれ球への反応には自信がある
パラグアイ代表について、試合前の取材の中で南野拓実は「ワールドカップに向けて勝ちきれないと不安が残る相手」と話していた。それは優勝を目標に掲げている以上、この段階でも「同じようなレベルの相手にきっちり勝つこと」が必要と考えたからだった。
しかし、結果は2−2のドロー。しかも土壇場で追いつくギリギリの展開だった。
「準備段階ですし、勝てなかったことへの悔しさのほうが強い。もちろんいい相手でしたけど、こういう相手に自分たちのやりたいサッカーとか、もっとボールを握ってゲームをコントロールするとか、個人的にも全然シュートに絡めていないし、中をしっかり閉められたときにどうやって攻撃に入っていくのかとか。連係からどういうふうに相手にとって嫌な存在感を出せるか。今日の試合はそういうのが物足りなかった。そこが反省点」
南野はキャプテンマークを巻き、左シャドーでプレーした。だが、守備の局面ではチーム全体としてプレスがはまらず、球際の争いでもパラグアイの選手たちの強さとうまさを何度も味わうことになった。
「前からうまくはめれる形はあったと思うんですけど、ロングボールをシンプルに放り込んでくる相手に対して、セカンドボールのところで奪いきれなかった。もっとシャドーだったり、中盤の選手たちがいい形で拾って、そのままスピードをもって上がるような攻撃を仕掛けられたら良かった。そういう場面は今後、増やしていけるようにしたい」
口をついて出るのは反省の言葉ばかり。これで日本は3戦未勝利。テストマッチであるものの、内容面でも日本の良さを出せたかと言えば、そうではない。
「個人的な意見ですけど、チームのやりたいことを表現するのはもちろん当たり前で、その中で自分がもっと自分の得意なポジションだったり、狙いどころというのを試合中に持ちたかったなと。きれいなポジションに付きすぎなくても、ポジショニングで逆にカオスを少し起こして、そこからこぼれてくるボールへの反応の速度には自信があるし、そういうものをもうちょっと出しても良かったかなと思います」
やらなければならないことと、得意なことは微妙に異なる。その『違い』に折り合いをつけることが、チームにプラスをもたらすということなのだろう。
次戦の相手はブラジル(14日)。パラグアイ以上に難しい相手と思われるが、日本の未勝利は続くのか。それとも史上初めて王国から勝利を手にできるのかーー。今回の反省を生かし、ピッチにカオスを生み出す南野の存在が、歴史を動かすカギなのかもしれない。